アベコベガエル(読み)あべこべがえる(その他表記)paradoxical frog

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アベコベガエル」の意味・わかりやすい解説

アベコベガエル
あべこべがえる
paradoxical frog
[学] Pseudis paradoxus

両生綱無尾目アベコベガエル科のカエルブラジルアルゼンチンを中心に分布水中性で、水草の多い止水域を好み、水底の小動物を食べる。体長6センチメートル内外。体表は暗緑色で、後肢は黄色と黒色のまだら模様。皮膚は滑らかで、後肢の水かきは大きく発達している。卵は泡状の卵塊として水草の間に産み付けられ、成長したオタマジャクシ成体よりはるかに大きく全長25センチメートルにも達する。親より子供のほうが大きいのでアベコベガエルの名がある。アベコベガエル科は南アメリカ固有の科で、2属5種が知られる。

倉本 満]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アベコベガエル」の意味・わかりやすい解説

アベコベガエル
Pseudis paradoxa; paradoxical frog

カエル目アベコベガエル科。幼生は巨大で全長 25cmをこえるが,変態のときに縮小して,わずか 4cm足らずの子ガエルになり,成熟しても 7cmぐらいにしかならない。アベコベガエルという名は,この奇妙な現象に由来する。成体は緑色ないし褐色の地に黒っぽい斑紋があり,後肢の蹼 (みずかき) がよく発達している。また,前肢の第1指がほかの指と向い合っていて,餌となる小動物をつかむことができる。南アメリカのアマゾン川流域に分布し,ほとんど水中で生活する。

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百科事典マイペディア 「アベコベガエル」の意味・わかりやすい解説

アベコベガエル

アベコベガエル科の両生類トリニダード島とアマゾン川の一部に分布。〈アベコベ〉という名は,オタマジャクシが大きく,ときには体長25cmを超えるのに対し,変態して成体になると体長6.5cmにしかならないことによる。成体の形はアカガエルに似るが,後足の指がより長くて細い。なお,アベコベガエル科は,全4種。すべて南米産である。

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世界大百科事典(旧版)内のアベコベガエルの言及

【食用ガエル(食用蛙)】より

…例えば,ヨーロッパトノサマガエルRana esculentaの英名edible frogは食用ガエルを意味し,南アジア産トラフガエルRana tigrinaはもも肉の味から水鶏(ツイコイ)と呼ばれる。アマゾン川流域ではアベコベガエルPseudis paradoxaの全長25cmに達するオタマジャクシまでが,市場で売られている。【松井 孝爾】
[調理]
 フランス料理ではグルヌイユgrenouilleと呼び,皮をむいた骨つきの後肢を用いる。…

※「アベコベガエル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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