山川 世界史小辞典 改訂新版 「アメリカ革命」の解説
アメリカ革命(アメリカかくめい)
American Revolution
アメリカの独立のために戦われた戦争は国際的側面を含めてアメリカ独立戦争と呼ばれるが,13植民地の人民がイギリス王に反逆し,人民がみずからを統治する共和国を樹立した革命過程はアメリカ革命と呼ばれる。植民地時代の政治制度と独立後のそれとの間には,形式的連続性があるが理念上の変化は大きい。植民地時代には世襲的な王を主権者として,王への忠誠の代価としてみずからの権利を主張したアメリカ人は,独立宣言後は,人民を主権者,憲法制定権限の所有者とみなし,王および貴族という特権身分を廃止し,人民を自由な市民とする共和政こそが最善の統治であるという観念にもとづいて,政府を再構成した。当初,人民は各州でみずからの代表により独立国としての州の憲法を制定したが,やがて連邦の一体性強化のため,合衆国(連邦)の人民として合衆国憲法を制定し,人民の統治権限を州と合衆国とに分与する体制を採用した。アメリカ独立宣言が基本的権利における人間の平等を主張し,人民には抑圧的政府を改廃する権利があると主張したことは,アメリカ革命の成功とあいまって,世界の人々に大きな思想的影響を与えた。アメリカ革命は南部諸州の奴隷制を廃止できず,奴隷制はその後も発展したが,北部では革命思想の影響により,奴隷制はまもなく廃止された。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報