アメリカ革命(その他表記)American Revolution

山川 世界史小辞典 改訂新版 「アメリカ革命」の解説

アメリカ革命(アメリカかくめい)
American Revolution

アメリカの独立のために戦われた戦争は国際的側面を含めてアメリカ独立戦争と呼ばれるが,13植民地人民がイギリス王に反逆し,人民がみずからを統治する共和国を樹立した革命過程はアメリカ革命と呼ばれる。植民地時代の政治制度と独立後のそれとの間には,形式的連続性があるが理念上の変化は大きい。植民地時代には世襲的な王を主権者として,王への忠誠の代価としてみずからの権利を主張したアメリカ人は,独立宣言後は,人民を主権者,憲法制定権限の所有者とみなし,王および貴族という特権身分を廃止し,人民を自由な市民とする共和政こそが最善の統治であるという観念にもとづいて,政府を再構成した。当初,人民は各州でみずからの代表により独立国としての州の憲法を制定したが,やがて連邦の一体性強化のため,合衆国(連邦)の人民として合衆国憲法を制定し,人民の統治権限を州と合衆国とに分与する体制を採用した。アメリカ独立宣言が基本的権利における人間の平等を主張し,人民には抑圧的政府を改廃する権利があると主張したことは,アメリカ革命の成功とあいまって,世界の人々に大きな思想的影響を与えた。アメリカ革命は南部諸州の奴隷制を廃止できず,奴隷制はその後も発展したが,北部では革命思想の影響により,奴隷制はまもなく廃止された。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアメリカ革命の言及

【アメリカ独立革命】より

…その間和解の方途も求められたが,本国,植民地側とも強硬派がしだいに支配的になり,ついに75年4月にはボストン近郊で,イギリス正規軍と植民地民兵とが衝突(コンコード,レキシントンの戦),のちの独立戦争の勃発となり,大陸会議はジョージ・ワシントンを植民地軍の総司令官に任命,各植民地兵と別に全アメリカを通じての正規軍として大陸軍を編成した。
[憲法論争]
 植民地側はこの反英抗争をイギリス憲法論により正当化しようとしたが,そこにアメリカ革命の〈保守〉的姿勢がみられるとともに,そこで展開される論点が後の諸邦憲法,合衆国憲法によって制度化されるという点で注目に値する。当初は,〈代表なければ課税なし〉のイギリス憲法の原則を厳密に解し,植民地人はイギリス議会に代表を送っていないゆえに本国議会は植民地に課税しえないとした。…

※「アメリカ革命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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