山川 世界史小辞典 改訂新版 「アメリカの独立」の解説
アメリカの独立(アメリカのどくりつ)
フランスおよびインディアンとの戦争後,イギリスはアメリカ大陸に新たに獲得した植民地の管理費にあてるため,印紙法,砂糖法,タウンゼンド法などによりアメリカ13植民地に課税し,また植民地の税関を整備して密貿易の取締りを強化したが,植民地側は「代表なくして課税なし」の原則を主張して課税政策に対する反対運動を展開した。本国政府はそれらの課税政策の大部分を撤回したので,1770年に本国と植民地の関係は一応回復した。73年の茶法はボストンの茶事件をよび起こし,これに対して本国政府はマサチューセッツに対する懲罰政策をとり,またケベック法を制定したので,13植民地の代表は大陸会議を開いて本国にこれらの政策の撤回を求めた。しかし本国は植民地の抵抗への圧迫を強めたので,75年武力抗争が始まり,翌年7月には13植民地の独立宣言がなされた。フランスは78年にアメリカと同盟を結んで参戦し,アメリカの独立を助けた。イギリスはアメリカ派遣軍が敗れ,またヨーロッパ諸国の敵意に直面したため,戦争の継続を断念し,83年のパリ条約でアメリカの独立を認めた。アメリカには本国への反逆に反対した人もあり,6万人以上がカナダなどに亡命した。アメリカは独立とともに王政と貴族身分とを廃止し,封建的土地制度の名残を一掃した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報