アーシュラ・K・ル・グウィン(読み)あーしゅら・けー・る・ぐうぃん(英語表記)Ursula K. Le Guin

知恵蔵 の解説

アーシュラ・K・ル・グウィン

米国のSF、ファンタジー作家。1929年、米カリフォルニア州バークレー生まれ。魔法使いやドラゴンが存在する世界や、両性具有の人間が生活する惑星などを舞台に、人種や性差、階級など現代社会に通じる問題を描き、「SF界の女王」と呼ばれた。
父親で文化人類学者のアルフレッド・ルイス・クローバーと、作家の母親との間に生まれた。大学では文学を学び、米国のラドクリフ大学で学士号、コロンビア大学で修士号を取得した。その後、フルブライト奨学生として仏パリに留学し、1951年、留学中に知り合った歴史学者、チャールズ・A・ル・グウィンと結婚。帰国後、米オレゴン州ポートランドに移り住んだ。チャールズとの間に3人の子どもがいる。
1950年代末から小説を書き始め、66年に長編第1作『ロカノンの世界』を発表した。69年に出版された『闇の左手』で、米SF界の二大賞であるヒューゴー賞ネビュラ賞を同時に受賞した。68年から2001年にかけて6作が出版された『ゲド戦記』シリーズは、日本語を含む16言語に翻訳され、世界的な人気を誇っている。同シリーズは、06年、日本のアニメ制作会社、スタジオジブリによってアニメ映画化された。著名なアニメーション映画監督宮崎駿長男、吾朗が初めて監督を務めた作品としても知られている。
『ゲド戦記』シリーズ以降も精力的に執筆活動を続けていたが、2018年1月22日、米ポートランドの自宅で死去した。88歳だった。翌23日に家族ツイッターのル・グウィンの認証済みアカウントで亡くなったことを発表した。

(南 文枝 ライター/2018年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報