アーヤーン(英語表記)A`yân

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アーヤーン
A`yân

イスラム史上,ある王朝,地域,都市,集団などの中心的人物,すなわち名士をいう。特に 18世紀中葉以後のオスマン帝国において,チフトリキ (大農場) の経営や徴税請負 (イルティザーム) などを通じて富裕化し,郡 (カザー) レベルの行政を掌握した地方名士をいう。語源は「目」を意味するアラビア語複数形の一つ。

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世界大百科事典 第2版の解説

アーヤーン【a‘yān】

アラビア語・ペルシア語・トルコ語文献などで,特定の時代,地域,王朝,部族,都市,農村などの〈有力者〉〈高官〉〈名士〉などを意味する語として使われる。語源はアラビア語で〈目〉や〈泉〉を意味するアイン‘aynの複数形。ムスリム社会の伝統的諸共同体のリーダーとして,権力者と民衆との仲介役を果たした。この語がとくに重要性を獲得するのは18世紀以後のオスマン帝国である。この時代に帝国の中央集権体制は弱まり,各地に在地の有力者層が勃興して,中央政府の派遣する地方官の影響力を排除した。

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世界大百科事典内のアーヤーンの言及

【オスマン帝国】より

…ティマール制のもとで維持されていた自営の小農民による土地保有は部分的に解体され,とくに河川流域の肥沃な地帯や交通の要路には,チフトリキ(私的大土地所有)が発達した。イルティザームとチフトリキとを経済的・社会的基盤としてアーヤーンと総称される在地の有力者層が台頭して,代官職や各種の徴税官職を独占し,カーディーの主宰するシャリーア法廷に干渉すると,帝国の中央集権的イスラム国家体制は,アナトリアとバルカンにおいてさえ,重大な危機に直面した。アーヤーン層は,都市において,ハーン,店舗,搾油所,家屋などを建設し,その収入によってモスク,マドラサ,ザーウィヤ,給水施設などの宗教・社会施設をつくって都市化を促進した。…

※「アーヤーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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