アメリカ合衆国、ワイオミング州北西部にある同国最古で最大の国立公園。面積8981平方キロメートル(日本の四国の半分に近い)。1872年制定。ロッキー山脈中の溶岩台地にあり、1万に近い温泉、200もの間欠泉、噴気孔などが存在し、火山活動がいまだに停止していないことを示している。世界でもまれな間欠泉は同公園のシンボルとなっており、とくに有名なオールド・フェイスフルは、その周期が40~80分、平均65分間隔で約4万リットルの温水を噴き上げ、高さ平均45メートルにも上る。デイジー、リバーサイドをはじめほとんどの間欠泉は、7か所の間欠泉層に集中している。マンモス・ホットスプリングズを代表とする温泉群は多くの鉱物を含有し、かつての激しい火山活動を物語る。
この地域は、ほとんどが標高2000~2400メートルで、最高峰はイーグル山(3462メートル)。公園を横切るイエローストーン川が刻んだグランド・キャニオン(コロラド川沿いのものとは別)も、北アメリカ屈指の大峡谷で、深さ約300メートル、長さ38.6キロメートル。インスピレーション・ポイントからの峡谷の眺めはみごとである。落差33メートルのアッパー・フォールズと、94メートルのロワー・フォールズの二つの壮大な大滝もある。また、世界有数の野生生物の天国で、オオジカ、シカ、バッファロー、コヨーテ、クマ、200種以上の野鳥などをみることができる。園内に点在する湖や小川では釣りが楽しめる。
[作野和世]
アメリカ合衆国西部,ロッキー山脈中の世界最初の国立公園。1872年,資源保存のためアメリカ最初の国立公園に指定され,その後世界各国の国立公園のモデルとなった。ワイオミング州北西端一帯を中心に,モンタナ,アイダホ両州にかけてひろがり,面積約9000km2(山梨県の2倍)。全体として火山性の高原で,氷河のある3000mを超す山も多い。公園内には温泉,間欠泉(約200),噴気孔,泥火山が約1万もある。有名なオールド・フェースフル間欠泉(平均間隔64.5分,平均高さ50m)をはじめ,イェローストーン川の大峡谷,滝,湖,森林,クマやキツネなどの野生動物に富む。マンモス・ホット・スプリングズでは,硫黄分を含む石灰質の温泉沈殿物が付着した黄色い岩の上を温泉が流れ,そのためイェローストーンの名がつけられた。
執筆者:正井 泰夫
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…もっとも,公有地を投機的目的で取得した者や,不法に利用した者も多く,19世紀も末年に近づくと,国民共同の資産としての公有地を保護しようとする動きが生ずる。1872年にはイェローストーン国立公園がつくられ,91年には国有林が誕生し,売却処分に歯止めがかけられた。しかし,こうした資源保全,自然保護はその地域の発展を遅らせるという考え方もあり,現在も公有地の多い西部諸州では,開発促進の立場を支持する勢力が強い。…
…大正期に入ると,史跡名勝天然記念物保護法(文化財保護法の前身)が19年に制定され,著名な景勝地が保護され始めた。アメリカではすでに1872年にイェローストーン国立公園を誕生させ,国立公園局も設置(1915)していた。この影響もあり,日本の内務省は20年に公園法の調査を開始,21年には衛生局保険課が,国立公園候補地として上高地をはじめ16ヵ所の調査を開始した。…
※「イエローストーン国立公園」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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