1枚または多数のごく流動性に富んだ大量の溶岩流で形成された台地。大規模なもののほとんどが玄武岩である。大規模な割れ目噴火か、多数の火口からの溶岩流出によって生じ、既存の山谷地形を埋めて平坦(へいたん)な地形をつくり、それが現在では侵食に耐えて台地をつくっている。現在は用いないが、古い分類ではペディオニーテPedioniteという。広大な分布をもつ溶岩の台地は洪水玄武岩ともよばれている。洪水玄武岩は、地球の深部から高温のマントル物質がプリューム状(巨大な逆雫(しずく)状の塊)に上昇して大量の高温のマグマが生産されたためであると考えられている。
世界で著名な溶岩台地は、中生代白亜紀末に形成されたインドのデカン高原と、新生代中新世の北アメリカのコロンビア川台地であり、それぞれ50万平方キロメートルと16万平方キロメートルの分布面積をもつ。地球上でもっとも広大な洪水玄武岩は、太平洋ソロモン諸島の北側に広がるオントン・ジャワ海台であると考えられている。これは約1億2000年前に形成されたもので、分布面積が1600万平方キロメートルに及ぶ。規模の小さいものでは1783年のアイスランドのラーキ火山の割れ目噴火(ラカギガル割れ目噴火)によりできたものがある。長さ25キロメートルにわたる約130個の火口(割れ目火口群)から溶岩が流れ出たもので、約600平方キロメートルの面積をもつ。
[諏訪 彰・中田節也]
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火山形態の一種で多数の溶岩流がほぼ水平に重なって広大な面積を占めるもの。溶岩流は玄武岩質のものが多く,地上最大のものはインドのデカン高原にあり,面積50万km2以上,最大厚さ2000m以上もある。また北米コロンビア高原,南米パラナ盆地などにも巨大な溶岩台地がある。長さ数十km以上に達する割れ目から溶岩が噴泉として噴出するような噴火を何回も繰り返し,低地を埋め広大な溶岩原を生じ,後の浸食作用で周囲の岩石よりも硬い溶岩が台地状に突出するようになる。このような溶岩台地を生じる火山活動は日本の火山地域にみられるものとはまったく異なるが,どのような地質環境で生じるのかよくわかっていない。香川県の屋島,国府台なども溶岩台地と呼ばれるが,これらははるかに小型で,比較的厚い数枚の溶岩が重なって台地状をなすものである。
執筆者:荒牧 重雄
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…ときには全体の厚さが数百mないし1000mに達し,広さも数十万km2に及ぶことがある。これを溶岩台地lava plateauという。地球上にはいろいろな地質時代にできた巨大な溶岩台地が広い地域を占めて分布している。…
…この意味の台地の用語が,plateau,またはcontinental plateauである。同様の規模で広域を溶岩層が覆っている台地が溶岩台地lava plateau(デカン高原,コロンビア高原など)である。日本の例では第三紀末の火山活動の結果生じた溶岩台地が残存している例として,耶馬渓溶岩台地,屋島溶岩台地などがある。…
…火砕流台地は体積104km3に達するものがある。溶岩台地では体積8×105km3のものまで知られている。 単成火山はおもに噴出物の堆積作用だけで形成され,その後は一方的に浸食されていく。…
…狭義には古期岩の水平層から成る台状の地形,すなわち〈大陸台地〉をいう。地形学的台地には大陸台地のほかに溶岩台地,石灰岩台地,火山灰砂台地,洪積台地が含まれる。日本の例では淀橋台,小日向(こびなた)台,富士見台など〈○○台〉の地名の場所は台地地形の一部で,多くは洪積台地にあたり,一方,秋吉台,平尾台,帝釈台,阿哲台などは石灰岩台地にあたる。…
※「溶岩台地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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