溶岩台地(読み)ヨウガンダイチ

デジタル大辞泉 「溶岩台地」の意味・読み・例文・類語

ようがん‐だいち【溶岩台地】

粘性の低い玄武岩質の溶岩が流出し、ほぼ水平に広がってできた広大な台地インドデカン高原など。ペディオニーテ

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精選版 日本国語大辞典 「溶岩台地」の意味・読み・例文・類語

ようがん‐だいち【溶岩台地】

  1. 〘 名詞 〙 粘性の低い玄武岩質の溶岩が流出して、ほぼ水平に広がってできた広大な台地。アメリカコロンビア高原、インドのデカン高原など。ペディオニーテ。
    1. [初出の実例]「熔岩台地の上り勾配がはげしくなって」(出典:風景の中の関係(1960)〈吉行淳之介〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「溶岩台地」の意味・わかりやすい解説

溶岩台地
ようがんだいち

1枚または多数のごく流動性に富んだ大量の溶岩流で形成された台地。大規模なもののほとんどが玄武岩である。大規模な割れ目噴火か、多数の火口からの溶岩流出によって生じ、既存の山谷地形を埋めて平坦(へいたん)な地形をつくり、それが現在では侵食に耐えて台地をつくっている。現在は用いないが、古い分類ではペディオニーテPedioniteという。広大な分布をもつ溶岩の台地は洪水玄武岩ともよばれている。洪水玄武岩は、地球の深部から高温のマントル物質がプリューム状(巨大な逆雫(しずく)状の塊)に上昇して大量の高温のマグマが生産されたためであると考えられている。

 世界で著名な溶岩台地は、中生代白亜紀末に形成されたインドのデカン高原と、新生代中新世の北アメリカのコロンビア川台地であり、それぞれ50万平方キロメートルと16万平方キロメートルの分布面積をもつ。地球上でもっとも広大な洪水玄武岩は、太平洋ソロモン諸島の北側に広がるオントン・ジャワ海台であると考えられている。これは約1億2000年前に形成されたもので、分布面積が1600万平方キロメートルに及ぶ。規模の小さいものでは1783年のアイスランドラーキ火山割れ目噴火(ラカギガル割れ目噴火)によりできたものがある。長さ25キロメートルにわたる約130個の火口(割れ目火口群)から溶岩が流れ出たもので、約600平方キロメートルの面積をもつ。

諏訪 彰・中田節也]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「溶岩台地」の意味・わかりやすい解説

溶岩台地
ようがんだいち
lava plateau

流動性に富んだ大量の溶岩によってつくられた広大かつ平坦な台地状の火山地形。インドのデカン高原やアメリカ合衆国のコロンビア高原などが相当し,面積は数十万km2,溶岩の厚さは最大 2kmに達する。おもに割れ目噴火によって形成され,1783~84年のアイスランドのラーキ山の噴火では,長さ約 25kmの割れ目から約 12.3km3の溶岩が流出した。狭い独立した火口から起こる通常の火山噴火とは流出するマグマの量が著しく違い,マグマの性質も一般に異なるので,両者の噴火のメカニズムは本質的に異なると考えられている。近年の研究では,マントル深部からの上昇流であるホットスポット,あるいはホットプルームというさらに巨大なマントル深部からの物質の流れが溶岩台地を形成するマグマの供給に重要な役割を果たしているという考えが提唱されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「溶岩台地」の意味・わかりやすい解説

溶岩台地 (ようがんだいち)
lava plateau

火山形態の一種で多数の溶岩流がほぼ水平に重なって広大な面積を占めるもの。溶岩流は玄武岩質のものが多く,地上最大のものはインドのデカン高原にあり,面積50万km2以上,最大厚さ2000m以上もある。また北米コロンビア高原,南米パラナ盆地などにも巨大な溶岩台地がある。長さ数十km以上に達する割れ目から溶岩が噴泉として噴出するような噴火を何回も繰り返し,低地を埋め広大な溶岩原を生じ,後の浸食作用で周囲の岩石よりも硬い溶岩が台地状に突出するようになる。このような溶岩台地を生じる火山活動は日本の火山地域にみられるものとはまったく異なるが,どのような地質環境で生じるのかよくわかっていない。香川県の屋島,国府台なども溶岩台地と呼ばれるが,これらははるかに小型で,比較的厚い数枚の溶岩が重なって台地状をなすものである。
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岩石学辞典 「溶岩台地」の解説

熔岩台地

単成火山ではなく,安定な大陸の地域に特徴的に存在し,非常に厚い玄武岩質熔岩流によって構成される広大な地域をいい,割れ目または割れ目群からの噴火によるもので熔岩は極めて流動性が高いものである.一枚の熔岩流の厚さは数mから30mくらいまでであるが,長期にわたって熔岩流出が繰り返され数1 000mの厚さに達することがあり,全体の面積は数10万km2に達する[Jaggar : 1931, Macdonald : 1953].米国アリゾナ州のウイリアムス峡谷では直径120mの流出口から熔岩が流出し,22km×14kmの広がりで厚さは240mに達する熔岩台地が形成された.大規模な例ではインドのデカン高原では面積50万km2,厚さ600~1 200mの熔岩台地が形成されている.米国北西部のコロンビア川台地では面積15万km2,厚さ600~1 200mの熔岩台地が形成されている.このような熔岩台地は厚さ数mから数10m程度の熔岩が多数流出して重なり形成されたものである.

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百科事典マイペディア 「溶岩台地」の意味・わかりやすい解説

溶岩台地【ようがんだいち】

溶岩流によって作られている台地。特に,ほぼ水平な玄武岩質の溶岩流が数多く重なり合って作られている広大な台地をさすことが多い。たとえばデカン高原や北米のコロンビア高原などで,面積数十万km2,厚さ2000mを超える規模となる。大規模な割れ目噴火によるものと,多数の火口から流出する場合が区別される。
→関連項目火山台地

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世界大百科事典(旧版)内の溶岩台地の言及

【火山】より

…ときには全体の厚さが数百mないし1000mに達し,広さも数十万km2に及ぶことがある。これを溶岩台地lava plateauという。地球上にはいろいろな地質時代にできた巨大な溶岩台地が広い地域を占めて分布している。…

【台地】より

…この意味の台地の用語が,plateau,またはcontinental plateauである。同様の規模で広域を溶岩層が覆っている台地が溶岩台地lava plateau(デカン高原,コロンビア高原など)である。日本の例では第三紀末の火山活動の結果生じた溶岩台地が残存している例として,耶馬渓溶岩台地,屋島溶岩台地などがある。…

【火山】より

…火砕流台地は体積104km3に達するものがある。溶岩台地では体積8×105km3のものまで知られている。 単成火山はおもに噴出物の堆積作用だけで形成され,その後は一方的に浸食されていく。…

【台地】より

…狭義には古期岩の水平層から成る台状の地形,すなわち〈大陸台地〉をいう。地形学的台地には大陸台地のほかに溶岩台地,石灰岩台地,火山灰砂台地,洪積台地が含まれる。日本の例では淀橋台,小日向(こびなた)台,富士見台など〈○○台〉の地名の場所は台地地形の一部で,多くは洪積台地にあたり,一方,秋吉台,平尾台,帝釈台,阿哲台などは石灰岩台地にあたる。…

※「溶岩台地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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