イージス艦(読み)イージスかん(英語表記)AEGIS

翻訳|aegis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

イージス艦
イージスかん
AEGIS

1980年代初頭,米海軍で開発された同時多目標対処能力を有する防空システム艦。イージス艦は,同時・異方向・多数機による敵航空機の攻撃に対処するため,全周広域の対空監視機能,多数目標の同時解析攻撃諸元取得機能,ならびに対空ミサイルの高速度発射機能を備えるとともに,艦隊全般の防空作戦を指揮・管制する防空中枢艦機能を持つ。このため,大型高性能のフェーズドアレイレーダ,大容量,高速処理可能なコンピュータおよび垂直ミサイル発射装置から発射される長距離対空ミサイルから構成される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

知恵蔵の解説

イージス艦

「こんごう型」は基準排水量7250t、満載時9485t、建造費約1200億円という大型で高価な護衛艦射程120kmのSM2MR対空ミサイル74発を搭載、同時に12発以上のミサイルを別々の目標(攻撃機対艦ミサイル)に誘導できる。従来の対空ミサイル艦が射程30km余のミサイルを最大で同時に2発しか誘導できなかったのに比べ、能力は大幅に向上し、弾道ミサイルの監視にも活躍、弾道ミサイルに対抗する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載する計画で、「こんごう型」4隻に加え、満載排水量1万tの「あたご型」1隻が07年に就役、他に1隻を建造中。

(田岡俊次 軍事ジャーナリスト / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

イージス艦

米海軍が対艦ミサイルから艦隊を護衛するために開発。高性能レーダーで同時に多数の目標を攻撃できる。米海軍は約70隻、海上自衛隊も4隻保有している。弾道ミサイル防衛では、長距離を飛行する弾道ミサイルをサーチライトのように監視・追跡する。

(2006-05-17 朝日新聞 朝刊 オピニオン1)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

デジタル大辞泉の解説

イージス‐かん【イージス艦】

Aegis destroyer》目標の捜索・探知から情報処理、攻撃までを自動処理する高性能対空ミサイルシステムを搭載した軍艦。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

イージス艦【イージスかん】

総合的兵器システム〈イージスAegis〉を搭載した護衛艦。200以上の目標を同時追跡でき,20程度の目標を同時に攻撃できるという近代的装備の大型艦(基準排水量7200トン)。海上自衛隊は米国からこのシステムを購入したが,艦体は国産で総費用約1500億円という高価さ。中期防衛力整備計画(2001年-2005年)で,海上自衛隊はイージス艦をすでに4隻就役させているが,この高価な艦で何を守るのかという疑問が出ている。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

大辞林 第三版の解説

イージスかん【イージス艦】

〔イージス(Aegis)はギリシャ神話でゼウスとアテナの持ち物の一つであるアイギスのこと〕
高性能の防空巡洋艦。強力なレーダー・コンピューターとミサイルを組み合わせ、同時に多数の目標に対処できる。エイジス艦。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

イージス艦
いーじすかん
Aegis

航空機とミサイルの同時多数攻撃に対応するイージス・システムAegis Systemを装備した艦艇のこと。1963年アメリカの国防長官マクナマラは、艦艇用ミサイルシステム(ASMS=Advanced Surface Missile System)を承認し、それに伴い、米海軍は1983年に最初のイージス艦を就役させた。イージス艦は約200目標の同時追尾ができるフェーズド・アレイ・レーダー(位相配列レーダー)を装備し、武器管制システムはコンピュータで統制されており、目標探知、ミサイル発射および結果の評価は自動的に行われる。前後甲板の垂直発射装置(VLS=Vertical Launching System)には射程約70キロメートルのセミアクティブ・レーダー・ホーミング艦対空ミサイルが搭載されており、在来艦の4倍以上の16または18の目標を同時に攻撃可能であるといわれている。VLSには射程約9キロメートルの対潜ロケット(ASROC=Anti-Submarine Rocket)や巡航ミサイルも装填(そうてん)することができる。その他、発射速度毎分3000発の6砲身ガトリング砲が、近接防御火器システム(CIWS=Close in Weapon System)として搭載されているほか、射程約15キロメートルの5インチ砲、射程100キロメートルを超える艦対艦ミサイルも搭載されている。防衛庁(現防衛省)は洋上防空体制の中枢を担うものとして1987年(昭和62)に導入を決定。システムを輸入し、国産護衛艦に搭載されることになり、1993年(平成5)3月、その一番艦「こんごう」(7250トン)が竣工した。2010年(平成22)時点で「こんごう」型イージス艦4隻(「こんごう」「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」)、「あたご」型イージス艦(7750トン)2隻(「あたご」「あしがら」)が配備されている。また、2007年12月には、「こんごう」に搭載されたスタンダード・ミサイル(SM-3)の発射実験がハワイのカウアイ島沖で行われ、高度100キロメートル以上の大気圏外を飛行する標的ミサイル1発の迎撃に成功した。2008年11月には、「ちょうかい」がカウアイ島沖でSM-3の発射試験を行ったが、SM-3の弾頭部分の不具合により標的ミサイルには命中しなかったものの、BMD(弾道ミサイル防衛)システムが正常に作動していることが確認された。2009年10月には、「みょうこう」が弾道ミサイル迎撃実験を行い、事前通知のない条件下で標的ミサイルの捕捉・追尾・迎撃に成功している。2010年末時点で、イージス艦は米海軍および海上自衛隊のほか、韓国、ノルウェー、スペインの各海軍により運用されている。なお、イージスとはギリシア神話に登場する戦争の女神アテナの盾である。[村井友秀]
『金田秀昭著『ミリタリー選書27 BMD<弾道ミサイル防衛>がわかる――突如襲い来る弾道ミサイルの脅威に対抗せよ』(2008・イカロス出版) ▽柿谷哲也著『イージス艦はなぜ最強の盾といわれるのか――圧倒的な防空能力をもつ戦闘艦の秘密』(サイエンス・アイ新書・ソフトバンククリエイティブ)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

リベルランド自由共和国

ヨーロッパ南東部のセルビアとクロアチアの国境に位置する、国土7平方キロメートルのミクロ国家。個人と経済の自由を信条として、チェコの経済学者ビト・イェドリチカを中心に2015年より建国が進められてきた。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

イージス艦の関連情報