ウェルズ大聖堂(読み)ウェルズだいせいどう(その他表記)Wells Cathedral

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェルズ大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ウェルズ大聖堂
ウェルズだいせいどう
Wells Cathedral

イギリスイングランド南西部,サマセット県の都市ウェルズにある聖アンドリュー大聖堂初期イギリス様式最初のゴシック建築。第1次建造はバスの司教レジナルドにより 1180年頃から始められ,その後司教ジョスリンに受け継がれて,身廊内陣側廊と両翼廊および西ファサードが 1239年一応完成した。第2次建造(1290~1340)で東側翼廊と東ファサードが完成され,多角形平面の参事会室とレディー・チャペルが建造されたが,14世紀後半および 15世紀初めに建造が試みられた西側の二つの塔は未完であり,回廊部分は 1425~1500年の間に建てられたものである。この聖堂で最もユニークなのは,1338年に身廊と翼廊との交差部に設けられた,中央塔を支えるアーチである。(→イギリス・ゴシック様式

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ウェルズ大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ウェルズ大聖堂 (ウェルズだいせいどう)
Cathedral, Wells

イギリス南西部,サマセット州のウェルズにあるゴシック様式の大聖堂。初期イギリス様式Early English Styleの代表例。堂々たる西正面は1220年ころの建造で,ニッチと多数の彫像群を伴う,バットレスで囲まれた重厚な双塔(頂部は14~15世紀に完成)が立つ。内部は大アーケード,トリフォリウムtriforium,高窓をもつ,水平性の強調された3層構成を示す。交差部の支柱にX字形の巨大な補強アーチがついて,全長100mの身廊空間を前後に隔絶し,いっそう奥深い印象を与える。なおウェルズという地名は,この大聖堂の近くに多くの泉がわいたことに由来する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「ウェルズ大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ウェルズ大聖堂【ウェルズだいせいどう】

英国,サマセット州のウェルズWellsにある教会堂。12世紀末に着工,1363年完成し,大部分が英国ゴシックの初期様式を残している。西正面には600に及ぶ像が刻まれ(13世紀前半),内部には中央塔を支持するためにアーチの上に交差させた逆アーチがあって,独特の景観を呈する。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android