ウォーレス線(読み)ウォーレスセン

デジタル大辞泉 「ウォーレス線」の意味・読み・例文・類語

ウォーレス‐せん【ウォーレス線】

東南アジアバリ島ロンボク島の間のロンボク海峡ボルネオスラウェシ島の間のマカッサル海峡をほぼ南北に通る、生物分布境界線。西は東洋区、東はオーストラリア区に属す。A=R=ウォーレスが1868年に提唱し、ハクスリーが命名した。その後、ウェーバーやメリルによって訂正された。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ウォーレス線」の意味・読み・例文・類語

ウォーレス‐せん【ウォーレス線】

  1. 〘 名詞 〙 一八六〇年イギリスのウォーレスが提唱し、のちハクスレーが命名した生物地理区の境界線。バリ、ロンボク両島間を北上し、ボルネオ、スラウェシ間を通ってフィリピンの南を太平洋に抜ける線で、東側のオーストラリア区と、西側の東洋区とを分ける。→新ウォーレス線

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ウォーレス線」の意味・わかりやすい解説

ウォーレス線【ウォーレスせん】

生物地理学で,東洋区とオーストラリア区の境界線としてA.R.ウォーレスにより最初に提唱されたもの。昆虫,貝,鳥類などの分布による。バリ島とロンボク島の間の狭い海峡を通るので有名。この線とウェーバー線の間は両区の生物相混在地帯とされる。
→関連項目マカッサル海峡ロンボク[島]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウォーレス線」の意味・わかりやすい解説

ウォーレス線
うぉーれすせん

ワラス線

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のウォーレス線の言及

【インドネシア】より

… 動物分布は地理的位置によってアジア,オーストラリア両系のものを含む。西部の島々ではアジア系のものと同じく,象や虎もいるが,マカッサル海峡とロンボク海峡をつなぐいわゆるウォーレス線を境に東部ではオーストラリア系のものが著しくなり,有袋類などがみられる。さらにスラウェシ東岸とチモール島東端とを結ぶウェーバー線によっても若干の動物(鹿の類)の分布の境界線が設定されている。…

【ウォーレス】より

…動物地理学に興味をもち,昆虫学者のベイツH.W.Batesと南アメリカで採集を行う。1854年,マレー諸島で動物の地理的分布を調べ,〈ウォーレス線〉に名を残す。58年,《変種がもとのタイプから無限に遠ざかる傾向について》がC.ダーウィンの論文とともに発表され,自然淘汰による進化論の発見者となったが,後,ヒトの起源の問題で宗教的見解を支持した。…

【動物地理区】より

… 各区の境界は,海峡,山脈,大河などの地理的障害,緯度的気候,林相,草原,砂漠などの生態的条件により,通常段階的な動物相,植物相の変化で示され,その境はしばしば提唱者の名で呼ばれる。例えば,東洋区とオーストラリア区の境にはウェーバー線とウォーレス線があり,その中間の移行部はワレーシアと呼ぶ(図2)。日本は南北に長く宗谷海峡は八田線,津軽海峡はブラキストン線,屋久島,奄美大島の間は渡瀬線として知られ,沖縄の宮古島と石垣島との間は蜂須賀(はちすが)線と呼ばれる(図3)。…

【ロンボク海峡】より

…水深は1000mを超え,日本と西アジアを往復する巨大タンカーは浅いマラッカ海峡よりこの海峡を通ることが多い。アジア系生物とオーストラリア系生物との居住の境界を示すウォーレス線が通ることで知られる。【別技 篤彦】。…

※「ウォーレス線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android