日本大百科全書(ニッポニカ) 「オウバイ」の意味・わかりやすい解説
オウバイ
おうばい / 黄梅
[学] Jasminum nudiflorum Lindl.
モクセイ科(APG分類:モクセイ科)の落葉低木。高さ1~2メートルになり、茎は緑色で4稜(りょう)があって角張り、ややつる状に細長く伸びて、先が地につくと発根する。葉は3小葉からなる複葉で、小葉は長楕円(ちょうだえん)形、長さ1~3センチメートル、表面は深緑色で、縁(へり)に短剛毛がある。3~4月、葉の出る前に黄色の花が1個ずつ対生して開く。花は径2~2.5センチメートルで上部が6裂して平らに開き、下部が細長い筒になった高坏(たかつき)形で、香りがない。雄しべは2本で花筒の内側につく。中国原産で日本に渡来した年代ははっきりしないが、『花壇綱目(かだんこうもく)』(1681)には黄梅(おうばい)として出ている。栽培が容易で、土地を選ばずよく成長する陽樹である。耐寒性があり、北海道でも育つ。繁殖は挿木、取木による。庭園に植え、また鉢植えや盆栽によく用いられ、懸崖(けんがい)仕立てなどにする。早春に黄色の花が開くので梅になぞらえて黄梅といわれ、中国ではこの花が開くと春になるので迎春花(げいしゅんか)とよぶ。
オウバイ属の植物は世界に約400種余りが知られているが、日本にはオウバイのほか、キソケイ、オウバイモドキ、ソケイなどが栽培される。キソケイJ. humile L. var. revolutum Stokesはヒマラヤ原産の常緑低木で、奇数羽状複葉の葉が互生し、5~6月ごろ、枝先の散房花序に黄色の花が開く。花冠の上部は5裂して平開し、花に香りがない。オウバイモドキJ. mesnyi Hance(J. primulinum Hemsl.)は中国雲南省原産の常緑低木で、3出複葉を対生し、5月に花冠の上部が6~10裂した黄色の花が開く。耐寒性があり関東地方以南で栽培される。
[小林義雄 2021年7月16日]