自動車旅行時に利用する簡易な宿泊施設およびその活動。オートキャンプは和製英語。自動車にテントその他の道具を積むか,キャンピングカーを利用して定められた場所(オートキャンプ場)で野外生活を営むことで,自動車の普及とともに発達したレクリエーションの一つである。欧米ではキャンピングカーを利用することが多い。ワゴン形式とトレーラー形式があり,いずれもベッド,洗面所,炊飯施設などが大きさに応じて設備されている。オートキャンプは,アメリカで1930年代初頭から始まった。人口密度が低く,原野の多いアメリカでは,自由自在なオートキャンプの習慣が広がり,日常生活の一部に組み込まれていった。これはカナダやヨーロッパにも伝播(でんぱ)し,とくに第2次世界大戦後急速に発達した。97年現在,アメリカに約4万,カナダに約2万5000,ドイツ,フランス,スイスなどヨーロッパに約4000のオートキャンプ場がつくられている。これは家族旅行が自動車中心であることにもよるが,北・西ヨーロッパでは家族で太陽を求めて地中海沿岸へ旅行するのに適していたこともある。
オートキャンプは次の2種類に大別できる。(1)リゾート・オートキャンプ キャンパーが1ヵ所のリゾートに滞在するもので,自然地型と市街地型とがある。前者には,スキー場,海水浴場,釣場,展望広場などがあり,自然景観の優れたところや各種の活動を中心とするなど地域の特色によって異なっている。後者は,アメリカには少なく,ヨーロッパに多い。大都市,文化都市などで,都市観光のために何日もその都市の中のオートキャンプ場に滞在するもので,都市公園の一角につくるオートキャンプ場もこの型に含められる。(2)トランジェント・オートキャンプ 交通拠点につくるもので,概してキャンパーが夜遅く入場し,翌朝早く出発する。明日の行動を楽にするため途中で宿泊する形で,主要道路沿いに一定の距離をおいてつくられている。オートキャンプ場には,洗面所,風呂場の整備されたものから,単なるキャンプユニットがあるだけのものまである。欧米の家族旅行ではホテルより利用度が高い。日本では1966年に初めて箱根にオートキャンプ場が設けられ,97年現在約200あり,家族旅行用のキャンプ場もある。道路が狭いため,トレーラーは少なく,1ボックスカーで旅行して,コテージまたはテントを利用するというタイプが多い。
→キャンプ
執筆者:徳久 球雄
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(松倉一夫 アウトドアライター / 2007年)
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