カエンサイ(読み)かえんさい(その他表記)table beet

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カエンサイ」の意味・わかりやすい解説

カエンサイ
かえんさい / 火焔菜
table beet
[学] Beta vulgaris L. var. rapa Dumort. form. rubra DC.

アカザ科(APG分類:ヒユ科)の二年草。サトウダイコンの1変種で、フダンソウや飼料用ビートともごく近縁の作物である。根出葉の葉身は卵形または長楕円(ちょうだえん)形で、フダンソウよりは葉柄がやや長い。特徴は全草が濃赤色で、根は大形のカブ状に肥大し、表面は濃赤色、輪切りにすると同心円状に赤い紋様がある。紀元前1000年ころからヨーロッパで薬用として栽培され、2~3世紀からは食用とされたが、野菜用に普及したのは中世からという。日本への渡来は江戸時代で、『大和本草(やまとほんぞう)』に最初の記載がみられる。現在広く栽培されるのは明治以降に改めて欧米から導入された品種である。播種(はしゅ)後60~80日で収穫できる。根をゆでて薄切りにし、酢に浸すと赤色がさえ、サラダに加えたり肉料理の彩りによい。名は全草の形と色を火焔に見立てたもの。

[星川清親 2021年1月21日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のカエンサイの言及

【ビート】より

…もともとビートの根はやや甘く,糖液が含まれるが,この糖含量を18世紀末からドイツで育種によって高めることによって作り出されたものがテンサイ(サトウダイコン)である。また,もっぱら葉を野菜として食べるために改良され変種に分化したものがフダンソウであり,根も地上部も真紅の特徴を野菜として賞用されて変種に独立したものがカエンサイであると考えられる。ビートの根は貯蔵して冬期間の家畜の多汁質飼料として利用され,地上部の葉も飼料とされる。…

※「カエンサイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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