カッチ湿地(読み)カッチしっち(英語表記)Rann of Kutch

改訂新版 世界大百科事典 「カッチ湿地」の意味・わかりやすい解説

カッチ湿地 (カッチしっち)
Rann of Kutch

インド西部,グジャラート州からパキスタン南部に続く,東西250km,南北150kmの広大な塩性の湿地。南側にあるカーティアーワール半島の上昇ならびにインダス河口付近の土砂堆積によって,アラビア海への出口を閉ざされた内湾が潟湖化したもの。標高わずか数mしかなく,高潮位の時や南西モンスーン期には海水によって広く冠水する。しかし,北に隣接してタール砂漠があるように,年降水量400mm以下の乾燥気候下にあるので,湿地帯は干上がり,所どころに白い塩化物の晶出がみられ,全体として黒みを帯びた不毛のシルト質の土壌となっている。インド政府はこの湿地の開発を図っているが,その実現は容易ではない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カッチ湿地」の意味・わかりやすい解説

カッチ湿地
かっちしっち
Rann of Kutch

インド西端、グジャラート州と一部パキスタンにかかる荒涼とした大湿地。面積2.3万平方キロメートル。南東の小カッチ湿地と北西の大カッチ湿地に分かれている。北回帰線上にあり、年降水量は300ミリメートルと少ないが、北のタール砂漠からルーニ川、ナラ川が大カッチ湿地に、東のアラバリ山地からバナス川が小カッチ湿地に流入し、南のアラビア海との間にカッチ半島、カーティアワール半島があるため排水が妨げられ、湿地は雨期に水没し、乾期に塩が集積する。かつては大カッチ湿地にインダス川支流も流入していたが、1819年の地震で寸断された。大カッチ湿地は北部が標高20メートル、南部が2メートルと低湿で、湿地の中にパチャム島、カディル島、ベラ島などがある。小カッチ湿地は動物保護区で、フラミンゴ大群は壮観である。

[成瀬敏郎]

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