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カラックス Leos Carax

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大辞林 第三版の解説

カラックス【Leos Carax】

1960~ ) フランスの映画監督。二三歳にして長編映画「ボーイ-ミーツ-ガール」が成功。「汚れた血」「ポン-ヌフの恋人」など、一作ごとに注目を集める。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カラックス
からっくす
Los Carax
(1960― )

フランスの映画監督。パリ郊外のシュレーヌに生まれる。リセでは理系のクラスに進学し、16歳でバカロレア(大学入学資格試験)に合格するが中退。その後家族のもとを離れて一人暮らしを始め、このとき最初のシナリオデジャ・ビュDj vuを書く。1978年パリに移住。シネマテークや映画館に通いつめ、パリ大学の映画学科に自由聴講生として参加していた。アルバイトをしながら中古のボレックス・カメラ(16ミリシネカメラ)を買い、初の短篇「夢見られた娘」La Fille rveに着手するが、このフィルムは未完のまま放棄されることになる。1979年、フランス政府が実施しているアバンス・シュル・ルセット(製作費前貸し制度)の長編部門審査会に「デジャ・ビュ」の脚本を提出するが、委員会は短編映画の製作を勧めた。それを受けて書かれた「絞殺のブルース」Strangulation Bluesと題した短編映画のシナリオを、『カイエ・デュ・シネマ』Cahiers du Cinma誌の運営委員をしていたパリ大学の講師に見せたことがきっかけで、カラックスは同誌に寄稿することになる。この年「絞殺のブルース」の脚本がアバンス・シュル・ルセットの審査を通り製作費を借りられることになったため、評論活動から実作の場へと活動領域を移す。完成した映画『絞殺のブルース』(1980)は1981年のイエール映画祭で若手監督部門のグランプリを受賞。このとき彼はすでに次の作品として長編映画のシナリオを書き上げていたが、資金集めやプロデューサー探しで難航し、ようやく1983年に撮影が敢行される。こうして完成した長編デビュー作『ボーイ・ミーツ・ガール』(1983)は翌年のカンヌ国際映画祭批評家週間でヤング大賞を受賞、「ゴダールの再来」「フランス映画の恐るべき子供」と絶賛される。当時、同様にフランス映画界を騒がせていたジャン・ジャック・ベネックスJean-Jacques Beineix(1946― )、リュック・ベッソンとともにカラックスは「ポスト・ヌーベル・バーグ」あるいは「BBC(ベネックス、ベッソン、カラックスの頭文字)の世代」とよばれていた。しかし「ポスト・ヌーベル・バーグ」の面々が映画にふたたび娯楽性を導入することによってフランス映画の復活に貢献したとすれば、むしろカラックスは「ヌーベル・バーグ」世代が提唱していた「作家主義」に徹底して固執し続けたという点で、より「ヌーベル・バーグ」的な感性の持ち主であるといえよう。
 その後詩人ランボーの『地獄の季節』に収録されている散文詩と同じ題名をもつ鮮烈な第二作『汚れた血』(1986)、大金をかけて実物大のオープンセットをつくるも制作会社の相次ぐ破産などの度重なるトラブルによって何度も撮影が中断され、3年の長きにわたって製作された第三作『ポンヌフの恋人』(1991)を発表する。これらはいずれもドニ・ラバンDenis Lavant(1961― )主演のアレックスという名をもつカラックスの分身的な青年が主人公であり、「アレックス青春三部作」とよばれている。それぞれの作品が毎回新たな手法を取り入れながらも、この三部作に通底しているのは、社会的なアウトサイダーである青年が、運命の女性との出会いを通してこれまでの自分から脱却しようとする、ある種の成長問題だといえるだろう。『ポンヌフの恋人』から8年の沈黙を経て、メルビルの小説『ピエール』を原作とした『ポーラX』(1999)を発表するが、同作は16ミリと35ミリフィルムの併用やコンピュータ・グラフィクスの導入といった新しい試みを行いつつ、近親相姦をテーマに愛の可能性/不可能性を深く掘り下げた作品となっている。[岩槻 歩]

資料 監督作品一覧

ボーイ・ミーツ・ガール Boy Meets Girl(1983)
汚れた血 Mauvais sang(1986)
ポンヌフの恋人 Les Amants du Pont-Neuf(1991)
ポーラX Pola X(1999)
TOKYO! Tokyo!(2008)
ホーリー・モーターズ Holy Motors(2012)
『鈴木布美子著『レオス・カラックス――映画の21世紀へ向けて』(1992・筑摩書房) ▽「Leos Carax‘Pola X’」(『STUDIO VOICE』1999年11月号・インファス)』

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