ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説
ガイガー=ヌッタルの法則
ガイガー=ヌッタルのほうそく
Geiger-Nuttall's law
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…ビスマスより重い不安定な原子核の崩壊に多く見られ,とくに自然放射性崩壊系列はいくつかのα崩壊を含む。崩壊の速さは原子核によって異なり非常に広い範囲にわたっているが,崩壊定数λとα線の空気中の飛程Rとの間にはlogeλ=A+B logeR(A,Bは各放射性崩壊系列に固有の定数)という簡単な関係(ガイガー=ヌッタルの法則)がある。α崩壊の理論的説明は,G.ガモフ,E.U.コンドンとR.W.ガーニーによって,残りの核から受けるクーロンポテンシャルのもとでのα粒子の運動を量子力学的に解くことによってなされ(1928),これによればα崩壊は,α粒子がその波動性のためポテンシャル障壁をトンネル効果によって抜け出てくる過程と考えられる。…
…ガイガーの行ったこれら一連の実験は,ラザフォードが原子模型を提唱(1911)する際の大きな力となったものである。11年α崩壊の崩壊定数とα粒子の飛程との間の関係を与えるガイガー=ヌッタルの法則を発見,翌年帰国した。13年β粒子(電子)検出用の尖端計数管を,28年には高感度のガイガー=ミュラー計数管を発明,また宇宙線,人工放射能,核分裂生成物などの研究に実験物理学者としての才を発揮した。…
…これがα粒子の放出である。理論計算を行うと,それまでなぞであった崩壊定数λと空気中のα線の飛程Rの関係が,各崩壊系列に固有の定数をA,Bとして,log eλ=A+B log eRで与えられるというガイガー=ヌッタルの法則を定性的に説明することができた。 鉛より原子番号の大きい元素ではα崩壊する核種が多いほか,中重核においても安定線から中性子の非常に少ないほうにはずれた核種には,α崩壊するものがみられる。…
※「ガイガー=ヌッタルの法則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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