対数(読み)タイスウ

デジタル大辞泉 「対数」の意味・読み・例文・類語

たい‐すう【対数】

xaya≠1, a>0, x>0)という関係があるとき、yaていとするxの対数といい、ylogaxと表す。xを対数y真数という。ロガリズム(logarithm)。

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精選版 日本国語大辞典 「対数」の意味・読み・例文・類語

たい‐すう【対数】

  1. 〘 名詞 〙 実数の一つ。aが1以外の正数のとき、正数N、実数bの間に N=ab という関係があるならば、bのことをaを底(てい)とするNの対数といい、b=logaN で表わす。正数の乗法、除法は、その対数の加法、減法に対応する。〔工学字彙(1886)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「対数」の意味・わかりやすい解説

対数
たいすう

a定数とするとき、数xに対し、
  x=ay……(1)
を満たす数yを、(aを底(てい)とする)xの対数といい、
  y=logax……(2)
と書く(logは、対数を意味する英語logarithmを略した記号)。すなわち、(1)と(2)は同値である。このとき、xyの真数という。たとえば、8=23,0.01=10-2であるから、それぞれ3=log28,-2=log100.01である。y=logax指数関数y=ax逆関数であり、aを1でない正の数とすれば、どんな正の数xに対しても、aを底とする対数yが一つだけ定まる。以下、底についてはa>0,a≠1、真数については正とする。1=a0,a=a1であるから、つねにloga1=0,logaa=1が成り立つ。また、α=logaA,β=logaBとすればA=aα,B=aβで、指数法則によりAB=aαaβ=aα+βすなわちlogaAB=α+β、したがって
  logaAB
   =logaA+logaB……(3)
が成り立つ。同様にして
  loga(A/B)
   =logaA-logaB……(4)
pを任意の実数としてlogaAp=plogaAで、とくに、nを自然数として

が導かれる。これらの公式から、二つの正の数ABの積、商がそれぞれの対数の和、差を利用して求められる。また、正の数An乗、n乗根がそれぞれlogaAn倍、n分の1を利用して求められる。なお、異なる底をもつ対数の間には次の関係がある。

  logaA=logbA/logba……(6)
このような計算を対数計算という。

 10を底とする対数を常用対数という。常用対数については次のような計算ができる。

  log102000
      =log10(2×103)
      =3+log102
  log100.002
      =log10(2×10-3)
      =-3+log102
同じようにして、log102の値から、n整数として2×10nの形の数の対数の値を求めることができる。一般に1≦x<10の範囲にあるxについて、log10xの値が与えられればx×10nの形の数の対数の値を求めることができる。この範囲にある数の常用対数の値の表が対数表である。たとえば対数表からlog103.14=0.4969が得られる。よって
  log103140=3+log103.14
       =3.4969
  log100.0314=-2+log103.14
       =.4969
これらの最後の形をみればわかるように、対数表から対数の値を求めるときは、3、のような整数部分と、4969のような小数部分に分けて扱うと都合がよい。前者指標後者を仮数とよぶ。指標は-nと同じ意味である。

 対数を用いる計算例として

の値を求めてみよう。


よって x=0.9528
前述の最後でlog10xの値からxを求めるのに対数表を逆に用いてもよいが、このために、対数の値に真数の値を対応させた逆対数表、すなわちy=10x(0≦x<1)の値の表もつくられている。

 長い間、対数計算は数値計算労力を減らすのに役だってきたが、近年コンピュータ発達によって、利用されることが少なくなった。数直線で、座標log10xの点にx目盛ったものを対数目盛りとよぶ。この目盛りを用いた方眼紙対数方眼紙といい、実験式を求めたりするのに利用される。常用対数のほかに、eを底とする対数も広く用いられている。

[植竹恒男]

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改訂新版 世界大百科事典 「対数」の意味・わかりやすい解説

対数 (たいすう)
logarithm

aを1でない正の数,xを任意の正の数とすると,auxとなる実数uが定まる。このuを〈aを底(てい)とするxの対数〉といい,u=logaxと書く。またこのとき,xuの真数という。aを定めて,xの値に対するlogaxの値を与える数値表を対数表という。対数の基本的な性質としては,

 loga1=0,logaa=1 ……(1) 

 logaxy=logax+logay ……(2) 

 logax/y)=logax-logay ……(3) 

 logaxpplogaxpは任意の実数) ……(4) 

 対数表によってxyの対数logax,logayを求め,和logax+logay=logaxyを計算して,対数表を逆に引くことによりlogaxyの真数xyを求めることができるから,真数の乗法が対数表によって対数の加法で置き換えられる。同様に,(3)により除法が減法で置き換えられ,(4)により累乗,または累乗根を求める計算がそれぞれ乗法,除法で置き換えられる。

 対数が史上に登場したのはこのような実用上の目的による。ビュルギJobst Bürgi(1552-1632)は1603-11年の間に対数表を作り,20年にそれを刊行した。それとは無関係に,J.ネーピアも1617年に対数表を公表し,これが対数の初めといわれる。

 ふつうの記数法は十進法によるので,実用上の計算には10を底とする対数を用いるのが便利である。この対数を常用対数common logarithmと呼び,初等数学では底10を省略してlogxと書く。このとき公式(1)によりlog10=1となる。x≧1であってxの整数部分がn+1桁(n≧0)の数ならば,x=10nx′,1≦x′<10と書けるから,logxn+logx′,0≦logx′<1となる。また,0<x<1であって,xの小数第n位に初めて0でない数字が現れるならば,x=10nx′,n′=-n,1≦x′<10と書けるから,logxn′+logx′,0≦logx′<1となる。上記のnx≧1の場合),またはn′(0<x<1の場合)を対数logxの指標といい,logx′を仮数という。すなわち,1≦x′<10なるx′に対する常用対数の表から,その対数(すなわち仮数)を求めれば,それにxの桁数から定まる整数n,またはn′(すなわち指標)を加えることにより,xの対数が得られる。常用対数表はこの原理によって作られ,1794年にベガG.Vegaによって完全なものとされた。

 しかし,数学の理論においては,

を底とする対数logexが用いられる。この対数を自然対数natural logarithmと呼んで,これを単にlogxで表すが,lnxとも書かれる。自然対数と常用対数との関係は,ただし,である。
指数関数 →指数法則 →対数関数
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「対数」の意味・わかりやすい解説

対数
たいすう
logarithm

a が1とは異なる正の数であって,xy の間に,xay なる関係があるとき,指数 y を,a を底とする x の対数といい,y= log ax と書き表わす。ここで,x は対数 y の真数と呼ばれる。対数 y は,真数 x を求めるために底 a を累乗すべき指数を意味する。任意の正の数 a ( a≠1 ) を底とする正の数 x の対数は,常に存在する。負であるような x の対数は実数の範囲では存在しない。 a を底とする x の対数が与えられたとき,他の数 b を底とする x の対数 y' は,
によって求めることができる。上の公式のなかの 1/ log ab を,対数の換算モジュラスという。底 a が 10の場合の対数を常用対数またはブリッグスの対数といい,普通の実用計算に用いられる。 x の常用対数 y は,一般に底 10を省略して,単に log x (あるいは lgx ) と書く。底が e=2.71828 …の場合の対数を,自然対数またはネーピアの対数といい,理論的な面や,科学,工学などで用いられ, log ex (あるいは ln x ) と書く。この自然対数は,双曲線対数と呼ばれることもある。自然対数から常用対数への換算モジュラスは 1/ log e10=0.43429 …,常用対数から自然対数への換算モジュラスは 1/ log 10e=2.30259… のように示される。自然対数と常用対数のほかに,情報理論や論理では, log 2x (あるいは lbx ) もよく使われる。

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百科事典マイペディア 「対数」の意味・わかりやすい解説

対数【たいすう】

aを1でない正数とするとき,正数xに対しx=a(y/)となる実数yがただ一つ存在する。yを,aを底とするxの対数といい,y=log(/a)xと書く。xをyの真数という。log(/a)(xx′)=log(/a)x+log(/a)x′,log(/a)(x(b/))=blog(/a)xの関係が成り立つので,乗除の計算が加減の計算に,べきやべき根の計算は乗除の計算に変えられる。数の計算には10を底とする常用対数,理論的な問題にはe(近似値2.71828……)を底とする自然対数が用いられる。log(/a)xをxの関数とみるときこれを対数関数といい,指数関数の逆関数である。→対数目盛
→関連項目計算尺指数ログ

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