日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリウム系列」の意味・わかりやすい解説
トリウム系列
とりうむけいれつ
thorium series
天然の放射系列の一つで、トリウム232に始まり、6回のα(アルファ)崩壊および4回のβ(ベータ)崩壊を経て、最後に鉛の安定同位体、鉛208に達する。この間、質量数はつねに4の倍数に保たれているので4n系列ともいう。
この放射系列が発見された当初、系列中に生ずるトリウム以外の元素の同位体にもトリウムの名を冠した名が用いられたことがあった。ラジウム228はメソトリウム1(MsTh1)、アクチニウム228はメソトリウム2(MsTh2)、トリウム228はラジオトリウム(RdTh)、ラジウム224はトリウムX(ThX)、ラドン220はトロン(またはトリウムエマネーション)(Tn)、ポロニウム216はトリウムA(ThA)、鉛212はトリウムB(ThB)、ビスマス212はトリウムC(ThC)、ポロニウム212はトリウムC'(ThC')、タリウム208はトリウムC"(ThC")と仮称されたが、現在は用いられない。
[岩本振武]