ガイガー(読み)がいがー(英語表記)Hans Wilhelm Geiger

デジタル大辞泉 「ガイガー」の意味・読み・例文・類語

ガイガー(Hans Wilhelm Geiger)

[1882~1945]ドイツの物理学者ラザフォードのもとで放射線を研究。放射能の測定器を発明。また、αアルファ崩壊に関する「ガイガー‐ヌッタルの法則」を発見した。

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精選版 日本国語大辞典 「ガイガー」の意味・読み・例文・類語

ガイガー

  1. ( Hans Wilhelm Geiger ハンス=ウィルヘルム━ ) ドイツの物理学者。ラザフォードのもとで放射能を研究。ガイガー‐ミュラー計数管を考案。(一八八二‐一九四五

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガイガー」の意味・わかりやすい解説

ガイガー(Hans Wilhelm Geiger)
がいがー
Hans Wilhelm Geiger
(1882―1945)

ドイツの実験物理学者。ガイガー・カウンターの考案で知られる。インド学者ウィルヘルム・ガイガーWilhelm Geiger(1856―1943)を父にノイシュタットに生まれ、エルランゲン大学、ミュンヘン大学で物理学を学んだ。1906年イギリスのマンチェスター大学でシュスターの助手となり、翌1907年シュスターの後を継いだラザフォードの下にとどまり、α(アルファ)線散乱の実験に従事、優れた研究成果をあげた。とくにα粒子が気体分子と衝突して電離する作用を利用したα粒子の計数装置は、後のガイガー計数管(1908)やガイガー‐ミュラー計数管(1928)として知られるさまざまな荷電粒子の計数管に発展し、放射線計測学の基礎を築いた。またマースデンErnest Marsden(1889―1970)とともに行ったα粒子の大角散乱の存在を示す実験(1909)は、ラザフォードの原子構造の研究を基礎づけた。さらにヌッタルJohn Mitchell Nuttall(1890―1958)との共同実験では、α粒子の飛程と親原子の平均寿命を関係づける法則(ガイガー‐ヌッタルの法則)を導いた。

 1912年帰国し、ベルリンの国立物理研究所に新設されたラジウム研究所の主任研究員となった。ここでボーテとともに、光の散乱で生じる反跳電子を測定して、光量子(光子)説を実験的に確かめた。第一次世界大戦に従軍したのち、1925年キール大学教授、1929年チュービンゲン大学教授となるが、ナチス政権が確立すると親英的研究者とみなされて、よいポストにつくことを妨げられたらしく、1936年から1944年まではベルリンの工業高等学校で教鞭(きょうべん)をとった。

[川合葉子]


ガイガー(Theodor Geiger)
がいがー
Theodor Geiger
(1891―1952)

ドイツの社会学者。1918年ウュルツブルク大学で法学博士号取得。1928年にブラウンシュワイク工科大学の員外教授として社会学を担当したが、1933年ナチスに追われデンマークに亡命、さらにスウェーデンに逃れた。第二次世界大戦後ふたたびデンマークに戻ったが、以後ドイツには帰らず、オーフス大学教授としてとどまった。1952年6月客員教授としてカナダトロント大学での講義終了後、帰途船上で死去。

 社会学の理論構成からすれば、形式社会学からは一定の距離を保ちつつ、「人間的結合およびこれから(あるいはこのものにおいて)生じた創造の研究」をもって社会学の課題とし、集団、人格的結合、群集および階層のごとき人間結合と実質的・形式的類型をその対象に設置した。集団の形式的類型にはテンニエスゲマインシャフトゲゼルシャフトを考えたが、あくまで集団形成の原理としてのみとらえ、方法論的には現象学的方法を採用しているのが特色である。亡命後の著作活動のなかでは、ワイマール民主主義の反省にたって『知識階級』(1944)を著したほか、在独中の『群集とその行動』(1926)によってル・ボンの『群集心理』(1895)を批判した成果を踏まえ、その延長線上で『るつぼの中の階級社会』(1951)を著すなど、学論以外にも貢献している。さらに論理実証主義的真理観に依拠して著した『イデオロギーと現実』(1953)のほか法社会学の研究など多方面にわたっている。

[鈴木幸寿]

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改訂新版 世界大百科事典 「ガイガー」の意味・わかりやすい解説

ガイガー
Hans Geiger
生没年:1882-1945

ドイツの物理学者。ノイシュタットの生れ。ミュンヘン,エルランゲン両大学に学ぶ。1906年放電研究で学位を取得,同年渡英し,マンチェスター大学助手となる。翌年E.ラザフォードが教授として着任,08年α粒子を電気的に検出する計数管を共同製作,α粒子が2倍の電気素量をもつことを確定した。またガイガーは計数管内のα粒子のふるまいに思いつき,不確実だったα粒子の散乱現象を検証,09年α粒子が金箔によって大角度に散乱されることを発見,次いで翌年さまざまな物質についてα粒子の最確散乱角を決定した。ガイガーの行ったこれら一連の実験は,ラザフォードが原子模型を提唱(1911)する際の大きな力となったものである。11年α崩壊の崩壊定数とα粒子の飛程との間の関係を与えるガイガー=ヌッタルの法則を発見,翌年帰国した。13年β粒子(電子)検出用の尖端計数管を,28年には高感度のガイガー=ミュラー計数管を発明,また宇宙線,人工放射能,核分裂生成物などの研究に実験物理学者としての才を発揮した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガイガー」の意味・わかりやすい解説

ガイガー
Geiger, Hans

[生]1882.9.30. ノイシュタット
[没]1945.9.24. ポツダム
ドイツの物理学者。本名 Johannes Wilhelm Geiger。エルランゲン大学,ミュンヘン大学に学び,渡英してマンチェスター大学で E.ラザフォードの助手をつとめた。キール大学教授 (1925) ,テュービンゲン大学教授 (29) ,ベルリン工科大学教授 (36) 。 1908年にラザフォードとともに開発した飛来するα粒子の数を数える装置は,α粒子の散乱の実験に利用され,ラザフォードによる原子の有核模型の提唱を導いた。 11年ガイガー=ヌッタルの法則を見出し,13年ガイガー尖端計数管を発明,28年には W.ミュラーとともにこれを改良してガイガー=ミュラー計数管を発明した。"Zeitschrift für Physik"および"Handbuch der Physik"の編集にもたずさわった。

ガイガー
Geiger, Moritz

[生]1880.6.26.
[没]1938.9.9.
ドイツの哲学者,美学者。ミュンヘン (1915) ,ゲッティンゲン (23~33) 大学教授,のちアメリカへ渡った。 E.フッサールの現象学的方法を美学の領域に適用,I.カントの「美の無関心性」に批判を加え,「無関心性」 Interesselosigkeitと「関心づけられないこと」 Uninteressiertheitとを区別した。主著"Beiträge zur Phänomenologie des ästhetischen Genusses" (13) ,"Zugänge zur Ästhetik" (28) 。

ガイガー
Geiger, Theodor Julius

[生]1891.11.9. ミュンヘン
[没]1952.6.19.
ドイツの社会学者。のちにデンマークへ亡命。形式社会学的立場に立ち,群衆,階層,知識階級の研究を行い,特に亡命後は,イデオロギー批判やマルクス主義批判を展開させた。主著『るつぼの中の階級社会』 Klassesamfundet i støbegruden (1948) 。

ガイガー
Geiger, Rupprecht

[生]1908.1.26. ミュンヘン
[没]2009.12.6. ミュンヘン
現代ドイツの抽象画家。建築を学び,第2次世界大戦後,画家に転じた。 1949年 W.バウマイスターらとグループ「ゼン」を創立。

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百科事典マイペディア 「ガイガー」の意味・わかりやすい解説

ガイガー

ドイツの物理学者。渡英してラザフォードのもとで放射能を研究。1908年α粒子の電気的検出法を考案,1909年E.マルスデンとα線の散乱実験を行ってラザフォードの原子模型の実験的根拠を与えた。1911年J.M.ヌッタルと,α線の飛跡の長さと崩壊定数の間に成り立つガイガー=ヌッタルの法則を発見。1912年帰独しキール大学,チュービンゲン大学,ベルリン大学等の教授を歴任。1913年にβ粒子検出用の尖端計数管を,1928年にガイガー=ミュラー計数管を発表。

ガイガー

ドイツの社会学者。1928年ブラウンシュワイク工業大学教授となったが,1933年ナチスに追われデンマークに亡命,オールフス大学教授となる。群集論,知識人論,階層論にすぐれた業績を残した。主著《群集とその行動》等。

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367日誕生日大事典 「ガイガー」の解説

ガイガー

生年月日:1880年6月26日
ドイツの哲学者,美学者
1938年没

ガイガー

生年月日:1891年11月9日
ドイツの社会学者
1952年没

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世界大百科事典(旧版)内のガイガーの言及

【ガイガー=ミュラー計数管】より

…気体の電離現象を利用した放射線検出器の一種で,GM計数管とも呼ばれる。1928年H.ガイガーとW.ミュラーが考案。いろいろの形状のものがあるが,通常,直径数cmの円筒状であり,管内には適当な気体(計数ガスと呼ばれる)がつめられている。…

※「ガイガー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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