キケマン(読み)きけまん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キケマン」の意味・わかりやすい解説

キケマン
きけまん / 黄華鬘
[学] Corydalis heterocarpa Sieb. et Zucc. var. japonica (Fr. et Sav.) Ohwi

ケシ科(APG分類:ケシ科)の越年草。高さ40センチメートル前後。全草は柔らかく、無毛、粉白色を帯び、傷つけると臭気を放つ。葉は互生、3~4回3出羽状複葉、小葉は卵形で欠刻する。4~5月、総状花序を出し、多数の黄色の花を開く。花は長さ1.5~2.0センチメートル、萼片(がくへん)は2枚。花弁は4枚で、外側の2枚は大きく、うち1枚には距(きょ)がある。雄しべは6本。雌しべは1本、子房は1室。蒴果(さくか)は披針(ひしん)形で中に黒くて小さな種子が並ぶ。関東から九州の低地に普通にみられる。キケマン属はユーラシア、北アメリカに約450種分布する。コマクサ属と近縁であるが、キケマン属は外側の花弁の一方にだけ膨らみ、また距があるので、外側の花弁の両方に膨らみをもつコマクサ属と区別される。

[寺林 進 2020年2月17日]


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百科事典マイペディア 「キケマン」の意味・わかりやすい解説

キケマン

関東〜沖縄のやぶの縁や海岸などにはえるケシ科の二年草。全体に粉緑色で異臭がある。茎は高さ30〜40cm,根出葉は2〜3回3出複葉。春,枝先に総状花序をつけ,多数の花を横向きにつける。花は黄色,筒形で,長さ約2cm,少しふくれた距がある。果実線形で長さ約3cm。近縁のミヤマキケマンは近畿以東の本州山地にはえ,やや小型で根出葉は1〜2回羽状に裂け,果実は数珠(じゅず)状にくびれる。

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世界大百科事典(旧版)内のキケマンの言及

【ムラサキケマン】より

…中国では,殺虫剤あるいはタムシなどの外用薬として用いる。 本種の属するキケマン属Corydalisにはユーラシアを中心に約200種あり,日本には13種が産する。塊茎を有する多年草(ジロボウエンゴサクなど)と,塊茎のない二年草があり,後者には,本種のほか,キケマンC.heterocarpa Sieb.et Zucc.var.japonica Ohwi,ヤマキケマンC.ophiocarpa Hook.et Thoms.などがある。…

※「キケマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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