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ギトリス ぎとりすIvry Gitlis

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ギトリス
ぎとりす
Ivry Gitlis
(1927― )

イスラエルのバイオリニスト。ハイファに生まれる。母は歌手、祖父はカントール(教会の合唱長)という音楽的環境のロシア系の家庭で育ち、6歳よりバイオリンを始める。8歳でヨーロッパに渡り、ブロニスラフ・フーベルマンの推薦により10歳でパリ音楽院に入学(同年最初のコンサートも開いた)。同音楽院を一番の成績で卒業したときは弱冠13歳だった。その後、ジョルジュ・エネスコ、ジャック・チボー、カール・フレッシュCarl Flesch(1873―1944)らに師事。第二次世界大戦時にはイギリスに亡命、一時工場で働くが、まもなく英国陸軍に所属。ギトリスにとって、音楽活動は一つの「行動」としてあり、そのため連合軍将兵らのために演奏することもいとわなかった。大戦終了まで同地に留まり、その後はパリを拠点に世界各国で演奏活動を行う。
 戦後ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団との共演でデビュー、1951年にはロン・チボー国際コンクールで優勝し、世界的にその名を知られるようになった。63年旧ソビエト連邦に音楽大使として赴(おもむ)く。
 現代音楽作品にも造詣が深く、ブルーノ・マデルナに『イブリーのための小品』(1971)を献呈され、72年にはイヤニス・クセナキスの『ミッカ』(1971)を初演している。日本国内のオーケストラとも多数共演。90年(平成2)、東京・御茶ノ水のカザルス・ホールで行われたコンサートの録音が、アルバム『ヴァイオリンの至芸』(2002)としてリリースされている。また「別府アルゲリッチ音楽祭」においてアルヘリッチとの共演コンサート(1999)、バイオリンのマスターコースを担当するなど、日本での活動も多い。96年ロンドン・ウィグモア・ホールでデビュー50周年コンサートを開いた。ギトリスの音楽は、優れたテクニックと、型にはまらない独特の魅力を備えたものであり、日本でも人気の高いバイオリニストの一人である。著書として『魂と弦』L'me et La Corde(1980)がある。[小沼純一]
『今井田博訳『魂と弦』(2000・春秋社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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