日本大百科全書(ニッポニカ) 「マデルナ」の意味・わかりやすい解説
マデルナ(Carlo Maderna)
までるな
Carlo Maderna
(1556―1629)
イタリア・バロックの建築家。マデルノMadernoともいう。北イタリアのカポラーゴに生まれる。1588年にはローマに出てシクストゥス5世に任用されていた伯父にあたる建築家ドメニコ・フォンタナのもとで学んだ。最初の主要作品は1603年に完成したサンタ・スザンナ聖堂のファサードで、それはビニョーラとポルタのイル・ジェズ聖堂のデザインを祖型としている。同年サン・ピエトロ大聖堂の建築主任に任命され、ブラマンテやミケランジェロが計画していた集中式プランを、身廊が付加されたラテン十字のバシリカに改変し、さらにファサードを拡張している。このほか教会建築にはミケランジェロの設計によるサン・ピエトロ大聖堂の円蓋(えんがい)を継承するサンタンドレア・デッラ・バッレ聖堂、世俗建築にはローマのパラッツォ・アンティーチ・マッティや、パラッツォ・バルベリーニの設計(建設はベルニーニ)などがある。
[小針由紀隆]
マデルナ(Bruno Maderna)
までるな
Bruno Maderna
(1920―1973)
イタリアの作曲家、指揮者。ベネチア生まれ。ローマのサンタ・チェチーリア音楽院を卒業、1950年ミュンヘンで指揮者としてデビュー。54年イタリア放送局がミラノに電子音楽スタジオを設立した際、ベリオとともに参画。以後、前衛音楽の紹介と普及に努めたほか、各地で講座をもち現代音楽を指導した。日本にもアンサンブル・ヨーロピアンという現代音楽の演奏団体を率いて61年(昭和36)初来日している。創作活動も盛んで電子音楽をはじめ多数の作品を発表しているが、代表作に管弦楽のための『アウラ』(1972)がある。ダルムシュタットに没。
[岩井宏之]