クロッカス(英語表記)Crocus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

クロッカス
Crocus

アヤメ科の球根植物。本来はサフラン属の属名であるが,通常はハナサフランなど観賞用に栽培される一群の種類の総称として使われる。いずれも小型の球根植物でヨーロッパ中南部から北アフリカに原産し,主としてオランダで改良されて多くの園芸品種がつくられた。最も代表的なハナサフラン C. vernusは南ヨーロッパ原産で,押しつぶしたような扁球形の球根から,鞘に包まれた松葉状の葉を出し,春早く紫,白などの6弁のらっぱ状の花を上向きにつける。日が当ると開花し夕方にしぼむ。同じく春咲きで,他にさきがけて黄色の花をつけるキバナハナサフラン C. aureusは Dutch crocusとも呼ばれ,日本でもごくなじみの深い花である。原産はギリシアから小アジアで,オランダで改良された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディアの解説

クロッカス

南欧〜小アジア原産のアヤメ科の球根植物。野生種は約75種知られており,それらの交雑による園芸品種も多数ある。花期が9〜10月の秋咲種と,2〜3月の春咲種に分けられ,ふつう花壇・庭園・鉢植・水栽培等には後者が作られている。葉は線状で中央に白線があり,繊維状の外皮に包まれた球根から数個の芽を出し,それぞれの芽の中央から1輪ずつ上向きに花を咲かせる。花被片は6枚で,黄・白・紫,またしま模様などがあり,花柱は普通3裂している。球根の植付けは秋咲種は9月上旬,春咲種は10月,日当りのよい場所に,2〜3cm程度覆土する。耐寒力は強く防寒は不要。薬用にされるサフランは秋咲種の一種。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

クロッカス【Crocus】

アヤメ科サフラン属Crocusの球根植物。別名ハナサフラン。クロッカスの仲間は地中海地方に約80種を原産するが,大別して春咲きと秋咲きの2群に分けられる。春咲きのクロッカスの名で園芸品種として栽培されているもののほとんどは,クロッカス・ベルヌスC.vernus (L.) Hillという品種から改良されたものである。3月上旬のまだ葉が十分伸びないうちに花が咲く。花は4~6cmのワインカップ形で,紫,白,黄のほか紫と白の絞り咲きがある。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

クロッカス【Crocus】

アヤメ科の多年草。地中海沿岸および小アジア原産。球根は球茎。葉は線形で根生する。早春、黄・紫・白などの花をつける。花は六弁で、下部に長い花筒がある。ハナサフラン。クローカス。 [季] 春。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クロッカス
くろっかす
crocus

アヤメ科の秋植え球根草。地中海沿岸や小アジアに約80種分布する。耐寒性は強く、花壇、鉢植えによい。クロッカス属は分類学的には六つの節に分けられるが、園芸的には春咲き種と秋咲き種に大別される。日本では、秋咲き種をサフランsaffran、春咲き種をクロッカスとよんでいる。球茎は扁平(へんぺい)で、径2~4センチメートル。葉は線形で、開花時あるいは開花後に伸長させ、長さ約10センチメートル。花は径5~7センチメートルの杯形で、1株に2~7個つける。花期は2月下旬から3月上旬。植え付けの深さ、用土などの栽培環境が悪いと、蛇腹のように伸び縮みする収縮根を出し、子球が移動することもある。現在の園芸品種は、ベルヌスC. vernus Wulf. が中心となってほかの原種と交雑してつくられたもので、主要品種は、紫青色系のニグロボーイ、アーリー・パーフェクション、リメンブランス、白色系のジャンヌ・ダーク、スノーストーム、黄色系のマンモス・エロー、ゴールディ・ロック、ラージ・イエローなどがある。絞り系では灰白色に紫の縞(しま)が入るストライプト・ビューティ、ストライプト・ドーナードがある。
 繁殖は分球により、10月ころ、日当りのよい砂質壌土に深さ5、6センチメートルに植え付ける。翌年6月、花が終わり葉が黄ばんできたら株を掘り上げ、葉付きのまま乾燥し、その後、球根を分けるなどして調整し貯蔵する。なお家庭では球根を掘り上げず、3~4年据え置き栽培すると、じゅうたん状に咲き、美しい。[平城好明]

文化史

クロッカスの栽培は、薬用としてのサフランに始まる。古代には貴重で、柱頭を乾かした粉は香料、調味料、染料、薬用のほか、高貴な女性の眉(まゆ)染めやマニキュアにも使用され、紀元前15世紀以前のクレタ文明は、サフラン貿易の利潤によって栄えたとの見方もある。イギリスには14世紀に伝えられ、以後18世紀に至るまで、イギリス南部にサフラン産業が続いた。花卉(かき)としてのクロッカスは、1597年にイギリスの博物学者ジェラードが5品種、ついで1629年にパーキンソンが27の春咲き品種と四つの秋咲き品種を記録した。それが1700年には48品種に増加した。[湯浅浩史]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のクロッカスの言及

【サフラン】より

…観賞用に広く栽培されるアヤメ科の球根植物(イラスト)。もともとは薬用または染料用に利用するために栽培された。小アジアまたは南ヨーロッパの原産と考えられているが,確かなことはわからない。花茎は高さ10cm程度。茎頂に直径3cmほどの香りのよい淡紫色の花をつける。花期は10~11月。花被片は6枚。おしべは3本で,葯は大きく黄色でよく目だつ。花柱は3本に分かれ,鮮やかな橙赤色。赤い花柱,黄色の葯と淡紫色の花被のコントラストが美しい。…

※「クロッカス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

ユニコーン企業

企業としての評価額が10億ドル(約1250億円)以上で、非上場のベンチャー企業を指す。ベンチャー企業への投資を専門的に行う投資会社を「ベンチャーキャピタル(venture capital)」と呼ぶが、...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

クロッカスの関連情報