グルコシダーゼ

化学辞典 第2版 「グルコシダーゼ」の解説

グルコシダーゼ
グルコシダーゼ
glucosidase

マルターゼともいう.グルコシド加水分解して糖およびアグリコンを生じる反応を触媒する酵素総称.また,加水分解とともに基質からグリコシル残基を,種々の糖およびアルコールに転移する作用を有するので,トランスグルコシダーゼともいう.本酵素にはα-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.20)およびβ-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)の2群があり,それぞれ次の反応を触媒する.

(1)α-酵素はα-D-グルコピラノシル残基の炭素に結合する2,4,6位のOHのHが置換されていない場合に広く作用する.アグリコンに対する特異性は酵素源によって異なる.ショ糖,アリールおよびアルキルα-D-グルコシドのほか,デンプン,グリコーゲンなどに作用する場合もある.マルトースに作用する酵素をマルターゼという.
(2)β-酵素はβ-グルコピラノシル結合に対する特異性は厳密であるが,アグリコンに対する特異性は酵素源によって異なる.セロビオースゲンチオビオースに作用する酵素をそれぞれセロビアーゼ,ゲンチオビアーゼと称する.
グルコシダーゼは微生物,動物,植物を通じてきわめて広く存在し,結晶としても得られている.[CAS 9033-06-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グルコシダーゼ」の意味・わかりやすい解説

グルコシダーゼ
glucosidase

グルコシドを加水分解して,グルコースと,その水酸基へのエステル的結合物であるアグリコンとにする酵素の総称。α-D-グルコシダーゼとβ-D-グルコシダーゼがある。前者動植物,微生物に広く存在し,クロカビからは結晶状で得られている。後者も動植物界に広く分布しており,アンズアーモンドはそのよい材料で,これらの種子中のグルコシドであるアミグダリンを分解するエムルシンは,19世紀に酵素研究の最初期に得られた酵素の一例である。

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