日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルターゼ」の意味・わかりやすい解説
マルターゼ
まるたーぜ
maltase
マルトース(麦芽糖)を加水分解して2分子のグルコースにする酵素であるが、マルトースに特異的に作用するものではなく、α(アルファ)-D-グルコシド結合を加水分解してD-グルコースを遊離する酵素の総称であるα-グルコシダーゼと同義に扱われる。すなわち、アルキルまたはアリールグルコシドなどのヘテロシドおよびマルトースなどのホロシドを加水分解する。
α-グルコシダーゼはほとんどすべての生物に含まれ、とくに酵母に多く存在する。高等動物では唾液(だえき)、膵臓(すいぞう)、腸液などにも含まれているが、小腸とくに空腸の粘膜からは5種類ものマルターゼ活性を有する酵素が分離されている。デンプンの消化の場合、アミラーゼとともに重要な役割を果たしている。なお、糖原病Ⅱ型(ポンペ病)は酸性のα-グルコシダーゼの欠損症である。
[村松 喬]