グローブ(読み)ぐろーぶ(英語表記)Lefty Grove

デジタル大辞泉 「グローブ」の意味・読み・例文・類語

グローブ(glove)

野球で、捕手・一塁手以外の野手が使う、5指に分かれた革製の手袋。グラブ。→ミット
ボクシングで用いる革製の手袋。

グローブ(globe)

光源を包み、光を和らげるのに使われる照明器具。本来は球形のものをさす。
the globe》地球。

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精選版 日本国語大辞典 「グローブ」の意味・読み・例文・類語

グローブ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] glove )
  2. 野球でボールを受けるのに用いる革製の手袋。→ミット。〔新式ベースボール術(1898)〕
    1. [初出の実例]「捕手が、グラーブを去(と)り、素手になった二塁手に直球を投げ狼狽さした」(出典:豊年虫(1928)〈志賀直哉〉)
  3. ボクシングに用いる革製の手袋。
    1. [初出の実例]「ジョオヂの拳闘手袋(グローブ)が空中に躍ってゐた」(出典:混血児ジョオヂ(1931)〈浅原六朗〉)

グローブ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] globe )
  2. 地球。天体。地球儀
  3. 電球をすっぽり包むガラスやプラスチック製のおおい。光をやわらげる効果がある。
    1. [初出の実例]「電球が露出せず乳白色のグローヴの中に隠されたもので」(出典:学生と読書(1938)〈河合栄治郎編〉読書と環境〈岸田日出刀〉四)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グローブ」の意味・わかりやすい解説

グローブ(Lefty Grove)
ぐろーぶ
Lefty Grove
(1900―1975)

アメリカのプロ野球選手(左投左打)。本名Robert Moses Grove。大リーグ(メジャー・リーグ)のフィラデルフィア・アスレチックス(現オークランド・アスレチックス)、ボストン・レッドソックスに投手として1925年から41年までプレーし、左腕からの煙を吐くような快速球は「スモークボール」といわれ、そのボールを武器に数々のタイトルを獲得、史上最高の左腕投手の一人といわれる。

 3月6日、メリーランド州のロナコニングに生まれる。ボルティモア・オリオールズのマイナー球団に所属し、4年半で109勝36敗の成績をあげた後、1925年にアスレチックスと、当時のスター選手のベーブ・ルースを6000ドル上回る、10万6000ドルの契約金で入団。大リーグ1年目から7年連続最多奪三振を達成し、3年目から7年連続20勝を記録した。エースとしてアスレチックスのワールド・シリーズ2連覇(1929、30)に貢献、1929年の対シカゴ・カブスとのワールド・シリーズでは、リリーフとして登板して2セーブを記録した。1931年にはシーズン16連勝のアメリカン・リーグタイ記録(当時)を達成した。1934年、アスレチックスが経営難に陥ったためにレッドソックスにトレードされた。その年は左腕を痛めて8勝に終わったが、翌35年からカーブ主体の技巧派に変身して、次の5年間で4回の最優秀防御率のタイトルを獲得した。1940年と41年にはそれぞれ7勝しかあげられなかったが、史上12人目の通算300勝を達成して引退した。オールスター・ゲームには6回出場している。

 17年間の通算成績は、登板試合616、投球回3940と3分の2、300勝141敗、防御率3.06、奪三振2266、完投298、完封35。獲得したおもなタイトルは、最多勝利4回、最優秀防御率9回、最多奪三振7回、MVP1回。1947年に野球殿堂入り。

[出村義和]


グローブ(William Robert Grove)
ぐろーぶ
William Robert Grove
(1811―1896)

イギリスの物理化学者、法律家。1832年オックスフォード大学卒業後、自然科学に転じ、1840年王立協会会員、1841~1846年ロンドン大学教授、また1875~1887年高等裁判所判事を務めた。1839年にグローブ電池を発明した。これは、最初の実用的な二液式電池であるダニエル電池と同じ二液式で、その倍近い起電力(約2ボルト)があり、後のブンゼン電池につながった。また著書『物理諸力の相関』Correlation of Physical Forces(1846)は「エネルギー保存則」の、いわゆる「同時発見」の一例としても著名である。

[宮下晋吉]

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改訂新版 世界大百科事典 「グローブ」の意味・わかりやすい解説

グローブ
George Grove
生没年:1820-1900

イギリスの土木技師,音楽学者。灯台,鉄橋,鉄道建設に従事した後,ロンドンの万国博覧会(1851)の会場(クリスタル・パレス)移築に際し管理者となり,1854年からそこで音楽会を主催。古典派,ロマン派作曲家を研究し,《ベートーベンと九つの交響曲》(1896)などの著書がある。1874年《音楽事典Dictionary of Music and Musicians》4巻(1879-89)に着手。自らも〈ベートーベン〉〈シューベルト〉〈メンデルスゾーン〉の項を執筆した。この事典は,英米の音楽事典中の白眉とされる。83年王立音楽院を創設し,初代院長となった。
執筆者:


グローブ
Frederick Philip Grove
生没年:1879-1948

カナダの小説家。ドイツ系。ドイツで文筆生活を送った後,1909年ごろカナダに移住,29年オンタリオ州に移るまで,マニトバ州の各地で教師生活を送る。厳しい平原地方の自然と苦闘する人間の姿を重苦しい筆致で営々と書き続けた。処女小説《沼沢地帯の入植者》(1925),野心的な大河小説《製粉工場の主》(1944)など8編の小説のほか,3編のエッセイ集や疑似自伝《自分自身を求めて》(1946)がある。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グローブ」の意味・わかりやすい解説

グローブ
Grove, Sir William Robert

[生]1811.7.11. ウェールズ,スウォンジ
[没]1896.8.1. ロンドン
イギリスの法律家,物理学者。オックスフォード大学,リンカーン法学院で学び,弁護士の免許を得た (1835) が,健康を害したこともあって科学研究に転じ,ロンドン・インスティチューションの物理学教授となる (1840~47) 。後年,再び司法界に地位を占め,高等民事裁判所判事をつとめた (71~87) りした。司法界引退後は科学研究に専念。分子内原子の熱解離を確証し,高温白金線上で水が水素と酸素に分解することを示した。 1839年水素-酸素燃料電池を発明し,これでアーク灯を点じた。 H.ヘルムホルツに先んじて自然力の相互転換を説いた『物理的諸力の相互連関について』 On the Correlation of Physical Forces (46) は有名である。 72年にナイトの称号を贈られた。

グローブ
Grove, Frederick Philip

[生]1871.2.14. ロシア北部
[没]1948.8.19. オンタリオ,シムコー
イギリス系カナダの小説家。父はスウェーデン人,母はスコットランド人。ヨーロッパ各地を転々としたのち,1892年トロントへ渡り,長らく農場労働者や学校教師をしながら,自然主義的手法を用いカナダ大平原を舞台にした『沼沢地開拓者』 Settlers of the Marsh (1925) ,『日々の糧』 Our Daily Bread (28) ,『生の絆』 The Yoke of Life (30) などの小説を発表。晩年に出した『製粉場の主』 The Master of the Mill (44) は,世代の相克と近代産業社会の問題に正面から取組んだ,カナダ文学屈指の野心的な大作。自伝『自我を探究して』 In Search of Myself (46) はカナダ総督賞を受賞した。

グローブ
Grove, Sir George

[生]1820.8.13. ロンドン
[没]1900.5.28. ロンドン
イギリスの音楽学者。有名な『グローブ音楽辞典』 Dictionary of Music and Musicians (1879~89) 初版の編纂者。 1882~94年ロンドンの王立音楽院の初代院長をつとめ,82年サーの称号を授けられた。主要著書『ベートーベンと9つの交響曲』 Beethoven and His Nine Symphonies (96) 。

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