エネルギー保存則(読み)エネルギーホゾンソク

化学辞典 第2版 「エネルギー保存則」の解説

エネルギー保存則
エネルギーホゾンソク
law of conservation of energy

保存力が質点をPからQまで動かす間に行う仕事Wが,P,Qにおける位置エネルギー減少運動エネルギー増加に等しいという関係,

WU(P) - U(Q) = T(Q) - T(P)

を書きなおすと,

T(P) + U(P) = T(Q) + U(Q) = 一定

という関係が成立する.Pを基準とすればQは任意に選べるから,保存力による質点の運動中のいかなる場所においても,運動エネルギーと位置エネルギーの和は一定であることが示される.このエネルギー保存則は,単に力学の問題においてだけではなく,摩擦や熱のエネルギー,光や音や弾性体のエネルギーも含め,自然界の現象のすべてにわたって成立する原理である.さらに,相対性理論によって質量とエネルギーが等価であることが明らかにされたので,質量も含めた形でエネルギーは保存されることになる.[別用語参照]熱力学第一法則

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エネルギー保存則」の意味・わかりやすい解説

エネルギー保存則
エネルギーほぞんそく
law of conservation of energy

物理的・化学的変化において,これに関与する各種のエネルギーの総和が,変化の前後で変らないという法則。特に力学的過程を通じて位置エネルギーと運動エネルギーとの和が変化しないことを力学的エネルギー保存則といい,保存力だけが働く系,または系に働く非保存力が仕事をしない場合に成り立つ。また熱の出入りのある系で,外界から吸収される熱量と外力のなす仕事の和がその系の内部エネルギーの増加となり,力学的エネルギーと熱エネルギーを含めてエネルギー保存則が成り立つ事実を熱力学第一法則という。エネルギー保存則は量子力学においても成り立ち,原子が高いエネルギー準位から低い準位へ遷移するとき,このエネルギー差に等しいエネルギーの光子が放出されるとして,原子スペクトルが理解される。

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