日本大百科全書(ニッポニカ) 「コッド」の意味・わかりやすい解説
コッド
こっど
cod
硬骨魚綱タラ目タラ科およびその近縁種を含めた魚類の英名。いわゆるタラ類のことで、世界では約25種が知られており、水産業上重要な種類が多い。北太平洋では日本にも分布するマダラとスケトウダラが、北大西洋ではタイセイヨウマダラAtlantic cod/Gadus morhuaが代表的である。タイセイヨウマダラは、未熟なものをコッドリングcodlingといい、成長が早く、3年で体長50~60センチメートル、5年で80~85センチメートルになる。最大の体長は183センチメートル、体重は95キログラムの記録がある。この魚は北緯30度以北の北米大西洋岸からヨーロッパ沿岸を経てバレンツ海やグリーンランドまで広く分布する。沿岸域から600メートルの広範囲の海底近くにすむが、ほとんどは150~200メートルにみられる。産卵期は12~7月で地方により異なる。水深50~200メートルぐらいの海底近くで産卵する。卵は浮性で直径1.3ミリメートル、受精後2週間余りで孵化(ふか)する。若魚はおもに小型の甲殻類、成長に伴って大型の甲殻類や魚類を多く食べる。地域により形や習性が多少異なり、多くの種族に分けられている。ヨーロッパでは海の牛肉と言われ、食用魚として大変重要な価値がある。日本にも輸入されている。
[落合 明・尼岡邦夫]