翻訳|Colorado
アメリカ合衆国、中西部の山岳州。面積26万9998平方キロメートル、人口430万1261(2000)。州都デンバー。東はカンザス、ネブラスカ州、北はネブラスカ、ワイオミング州、西はユタ州、南はニュー・メキシコ、オクラホマ州に接する。州土の約5分の2をロッキー山脈が占め、4000メートル級の山々が連なり、最高点はエルバート山(4399メートル)。平均標高2075メートルで合衆国ではもっとも高い。東部にはグレート・プレーンズが広がり、中央部から西部にかけてロッキー山岳地帯、さらに西部のコロラド高原へと地形の変化がみられ、ロッキー山脈に沿って南北に分水界が走る。気候は標高差によって変化するが、ほぼステップ、高山気候を呈し、一般的に涼しく快適であるが、冬は寒くかつ多雪である。人口の多くはデンバー、コロラド・スプリングズ、プエブロ各都市圏に集中する。古くから州経済の中心をなしてきた農業は現在も工業とともに重要である。ウシ、ヒツジを中心とした畜産が農業生産高の3分の2を占め、コムギ、サトウダイコン、トウモロコシ、ジャガイモ、果樹などの生産も多い。したがって食品加工業は機械工業と並ぶ重要工業であり、そのほか電気機器、金属、印刷、出版業も盛んである。また、鉱物資源の宝庫としても知られ、とくに世界最大のモリブデン鉱床をもち、石油の将来性も高い。ほかに、石炭、ウラニウム、金、銀なども産する。
早くからインディアンの居住したこの土地に最初に探検に入ったのはスペイン人であった(16世紀)。1803年ルイジアナ購入により合衆国領となり、1858年の金の発見、1870年代の鉄道網の発達は州経済の急速な発展を促し、1870年から1880年の10年間に人口は5倍の増加をみた。1861年準州となり、1876年38番目の州に昇格した。さらに第一次、第二次世界大戦を通じて、急速な経済発展を遂げた。
豊かな自然に恵まれて近年観光業も発達した。ロッキー山脈国立公園、メサ・バード国立公園をはじめ、記念物、国有林などの景勝地、レクリエーション地域に富み、冬はスキーでにぎわう。さらに、標高が高いことから、デンバー大学のチェンバレン観測所をはじめ、重要な観測所、研究所が設けられている。州都であり同州最大の都市であるデンバーが、商工業、文化、教育など州の心臓部の役割を負う。コロラド大学、州立大学、デンバー大学がある。
[作野和世]
アメリカ合衆国西部の州。略称Colo.。連邦加入1876年,38番目で,独立宣言発布後100年目に州に昇格したため〈百年記念州Centennial State〉の別称がある。面積27万km2,人口502万9196(2010)。州都および最大都市はデンバー。州名はスペイン語で〈赤らんだ〉を意味し,もともとはコロラド川をさして使われた。1803年のルイジアナ購入で州の東半分が,48年の米墨戦争の結果西半分がそれぞれ合衆国領となった。州の平均標高は全米一で,中央から西部にかけてロッキー山脈が南北に走り,州最高峰のエルバート山(4399m),パイクス・ピーク(4300m)などの高峰が連続し,小規模な山岳氷河や赤茶けた地形が見られる。ロングズ・ピーク(4350m)一帯にはロッキー山岳国立公園,南西部にはメサ・バーデ国立公園,北西端には恐竜の発掘地として有名なダイナサウルス国立記念物公園がある。ウィンター・スポーツも盛んで,コロラド・スプリングズはリゾート・タウンとして知られる。もともと鉱山州として発展し,現在でも石油,ウラン,石炭,天然ガスなどに恵まれ,クライマックスはモリブデンの世界一の鉱山である。州の東部はグレート・プレーンズの平原で,肉牛,羊,鶏の飼育とトウモロコシ,小麦,牧草,テンサイ,果樹などの栽培が行われる。工業化は第2次大戦後めざましく,デンバーを中心にコンピューター,機械器具,食品,宇宙航空などの各種工業が発達している。
執筆者:正井 泰夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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