ルイジアナ購入(読み)ルイジアナこうにゅう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルイジアナ購入」の意味・わかりやすい解説

ルイジアナ購入
ルイジアナこうにゅう
Louisiana Purchase

1803年アメリカがナポレオン1世から北アメリカ大陸のミシシッピ川西岸の広大なフランス領ルイジアナを購入した事件。 1800年ナポレオン1世に征服されたスペインはルイジアナをフランスに移譲した。これを知ったアメリカは大きな脅威を感じ,大統領 T.ジェファーソンはフランス駐在公使 R.リビングストン特命全権公使 J.モンローニューオーリンズと北緯 31°から南のメキシコ湾一帯 (ウェストフロリダ) の購入交渉を命じた。一方ナポレオンはサントドマング (ハイチ) の反乱に直面,またイギリスの脅威を受けてルイジアナの維持を困難と認め,03年5月,8000万フラン (1500万ドル) で,ジェファーソンの指示した範囲をこえて全ルイジアナ (約 214万 km2) の領有権をアメリカに売却した。これによってアメリカの領土は一躍2倍になり西部への発展の道が開けた。この購入はアメリカ史上で最も買い得なものであったといわれる。なおジェファーソンの行為は,憲法上は大統領の越権行為とみなしうるものであったが,上院はこの条約を大差で承認した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルイジアナ購入」の意味・わかりやすい解説

ルイジアナ購入
るいじあなこうにゅう

1803年、アメリカ合衆国が、ミシシッピ川とロッキー山脈の間の広大なルイジアナ地方をフランスから購入した事件。スペイン領であった同地方は、1800年フランスに返還され、従来認められていたアメリカ人のニュー・オーリンズにおける荷の貯蔵権が停止された。そこで大統領ジェファソンは、J・モンローらをフランスへ派遣、その交渉にあたらせた。ルイジアナをサン・ドマング植民地への食糧供給地とするナポレオン1世の構想は、同植民地の黒人革命によって破綻(はたん)したので、彼は対イギリス戦への準備も考慮し、不要になったルイジアナ全体をわずか1500万ドルで合衆国に売却した。この予想外の取引により、合衆国の領土は倍増し、西部発展の契機となった。

[竹本友子]

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