日本大百科全書(ニッポニカ) 「デンバー」の意味・わかりやすい解説
デンバー
でんばー
Denver
アメリカ合衆国、コロラド州中北部、ロッキー山脈東方にある同州最大の都市で州都。人口55万4636(2000)。海抜1605メートルに位置し、このため「海抜1マイルの都市」Mile High Cityと別称される。グレート・プレーンズ西端部に位置し、プラット川が貫流する。年降水量365ミリメートル、晴天日300日と温暖で乾燥した快適な気候に恵まれる。1858年金鉱採掘者のための物資供給地として町がつくられ、61年市制施行、67年コロラド準州の州都となる。1870年の鉄道の開通、および70~80年の金ブームにより急速な発展をみた。同州の心臓部として発展著しく、交通の要衝で、鉄道、ハイウェー網はもちろん、ステープルトン国際空港は世界第7位に数えられる空路の要(かなめ)である。この交通の利便性と地の利に加えて、エネルギー資源を中心とした豊富な天然資源が、古くから商工業の発達を促してきた。現在は1950年代にスタートした航空宇宙産業がその中核をなし、食品加工、電気機械、皮革、医療器具、ゴム、ガラス、石油などがこれに続く。また、太陽エネルギー研究所、陸軍造兵廠(しょう)、造幣局、ローリー空軍基地など連邦諸施設の集中が首都ワシントンを除いて最大であり、その雇用者数も3万3000人を超える。周辺には景勝地も多く、市街から4000メートル級の山々が一望され、スキー、登山、ハイキング、キャンプのメッカとして多くの人に親しまれるが、とくに数多くの施設を有する市立公園や、ロッキー山麓(さんろく)に広がる面積54.4平方キロメートルのデンバー山岳公園は世界最大規模を誇る。コロラド大学、デンバー大学を軸とした教育研究施設に優れ、広域の医療センターとしての役割が注目されている。
[作野和世]