日本大百科全書(ニッポニカ) 「サフラワー油」の意味・わかりやすい解説
サフラワー油
さふらわーゆ
safflower oil
キク科の植物ベニバナの種子から圧搾抽出法によって得る乾性油(あるいは半乾性油)。けん化価185~195、ヨウ素価120~150。べにばな油ともいう。含油量15~35%。40~80%以上のリノール酸を含み、オレイン酸を含有するが、リノレン酸の含有量は微小である。飽和脂肪酸の含有量は20%以下程度。サラダ油、てんぷら油に使用される。以上の脂肪酸のうち、リノール酸、リノレン酸などは、ヒトを含めた動物が合成することのできない必須脂肪酸(ひっすしぼうさん)であり、ぜひ摂取しなければならない栄養素である。オレイン酸は飽和脂肪酸の約100倍、リノール酸はオレイン酸の10倍あるいは20~40倍、リノレン酸はリノール酸の2倍、自動酸化されやすい。そのためリノール酸以上のポリ不飽和脂肪酸は、脂肪油の酸敗の主成分として働く。脂肪油の自動酸化で生じた過酸化脂質は、老化、生活習慣病(成人病)の原因物質といわれ、健康によくない。しかしこのポリ不飽和脂肪酸を、ビタミンB6およびビタミンE(いずれも生体内で抗酸化剤として働く)とともに摂取すれば、血清コレステリン値は低下し健康によい。ただし前述のように自動酸化されやすいので、新鮮なものをとる必要がある。
[福住一雄]
『福住一雄著『これさえ食べれば老化癌高血圧も怖くない』(1984・実業之日本社、有楽出版社)』