リノール酸(読み)りのーるさん(英語表記)linoleic acid

翻訳|linoleic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リノール酸」の意味・わかりやすい解説

リノール酸
りのーるさん
linoleic acid

9、12位にシス型の二重結合をもつ代表的なn-6(ω6)系多価不飽和脂肪酸である。植物油、とくにサフラワー油ベニバナ油)、ヒマワリ油大豆油コーン油などに多く含まれる。動物体内では合成されない必須脂肪酸(ひっすしぼうさん)であり、エネルギー比で2%程度の摂取が必要である。通常の食生活で不足することはないが、欠乏すると成長抑制、皮膚炎などをおこす。二重結合の位置と立体配置が変わると必須脂肪酸活性を失うが、共役リノール酸には特徴的な生理機能がある。優れた血液コレステロール低下作用を示すが、とりすぎると善玉コレステロールをも低下させる。酸化されやすく、動脈硬化を含め種々の生活習慣病の引き金となるので抗酸化対策が必要である。動物体内ではアラキドン酸に変えられ、生体膜の機能を維持し、また、代謝調節に貴重な役割を果たす種々のエイコサノイドプロスタグランジンロイコトリエンなど)の基質となる。

[菅野道廣]

『拓殖治人・高瀬幸子・武藤泰敏編『成人病予防からみた脂肪の選択』(1996・光生館)』『五十嵐脩・菅野道廣編『脂肪酸栄養の現代的視点』(1998・光生館)』『坂倉弘重編『脂質の科学』(1999・朝倉書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リノール酸」の意味・わかりやすい解説

リノール酸
リノールさん
linoleic acid

2個の不飽和結合をもつ不可欠脂肪酸。次の化学式をもつ。

CH3(CH2)3(CH2CH=CH)2(CH2)7COOH

油脂中に多く含まれる無色液体。融点-12℃,沸点 230℃ (16mmHg) 。水に不溶,エーテルアルコール可溶軟石鹸原料として用いられる。

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