サハラ以南のアフリカで広く用いられる体鳴楽器の一種。共鳴板(箱)の上に並べ,一端を固定した金属(鉄)や竹や木の細長い舌状の薄片を両手の親指と人差指で弾いて鳴らす。楽器の大きさは地方によってさまざまだが,薄片の数は8~22,共鳴板の大きさは18cm×25cmくらいが標準。鉄の薄片は自転車のリムやこうもり傘の骨をたたき延ばし,音律に従って適当な長さに切る。音は原理的にはオルゴールのそれに近いが,アフリカの伝統的な楽器の特徴として,各薄片にリングを付加したり,共鳴箱に貝殻や瓶の金冠をゆるく取り付けて,弾奏の振動に呼応して〈さわり〉がつくようにくふうされている。またいっそう豊かな音量を得るために大きなふくべの頂上を切り取った共鳴器の中に楽器をすっぽり入れて弾奏することも広く行われている。
サンザの名称はコンゴ民主共和国の一地方の呼び名で,ほかにムビラmbira,カリンバkalimba,リケンベlikembeなど,地域によって,楽器の形態によってさまざまな呼称がある。欧米ではこれを〈親指ピアノthumb piano〉の通称で呼ぶことが一般化している。
19世紀にサンザはラテン・アメリカへもたらされて,カリブ海の黒人の音楽に用いられるようになった。ルンバ・ボックスrumba box(ベース・ボックスbass boxともいい,とくにジャマイカで合奏の際に用いられる低音楽器。サンザを大型化して改造した近代楽器でコントラバスの代用にされる)はその一例である。なお,楽器学ではこのタイプの体鳴楽器を舌状薄片楽器lamellaphoneと総称する。
執筆者:柘植 元一
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アフリカのサハラ以南各地に広く分布する摘奏体鳴楽器の総称。地域によってムビラ、マリンバ、リケンベなどの呼称をもつ。形態も楽器ごとに異なるが、基本的には、数本から数十本の長さの異なる細長い薄片(木・竹・金属製)の一端を木やひょうたんの共鳴箱か平板の上に固定し、手前にくる他端を親指や他の指ではじいて音を出す構造をもつ。平板に取り付けた場合は、楽器全体をひょうたんなどの中に入れて演奏し共鳴させる。多くの楽器は、共鳴箱や板に貝や金属のがらがらを取り付けたり、薄片の基部に自由に振動する金属片をつけたりして音質に変化をもたせている。通常、歌の伴奏に、また独奏や合奏にも用いられる。19世紀に中南米に入り、カリブ海の黒人音楽にルンバ・ボックスとして大形の改良型サンザが使われるようになった。
[山田陽一]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…ヒョウタンの共鳴器をつける場合が多い。この木琴類と同じく広範に分布するのが指ピアノとして知られるサンザである。さまざまな型の太鼓類,骨,角,アシなどで作られた笛類など,その種類はきわめて多い。…
※「さんざ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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