コントラバス(英語表記)Kontrabass[ドイツ]

デジタル大辞泉 「コントラバス」の意味・読み・例文・類語

コントラバス(〈ドイツ〉Kontrabass)

弦楽器の一。バイオリン属で最も大形の低音楽器。弦は4本または5本。余韻が豊かで、弓奏・ピッチカート奏法ともに用いられる。ダブルベースベース。バス。

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精選版 日本国語大辞典 「コントラバス」の意味・読み・例文・類語

コントラバス

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Kontrabass ) 最低音。特に、バイオリン属中最大で音域の最も低い擦弦楽器をいう。四または五本の弦を四度間隔で調弦。重厚な音色で、余韻が長い。一六世紀末、ビオル属の最低音楽器ビオローネとバス・バイオリンから発達。ダブルベース。バス。弦バス。ベース。
    1. [初出の実例]「コントラバスのやうな太い声を出した」(出典:太陽のない街(1929)〈徳永直〉仮面を脱ぐ)

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改訂新版 世界大百科事典 「コントラバス」の意味・わかりやすい解説

コントラバス
Kontrabass[ドイツ]

〈ダブル・ベース〉〈弦バス〉とも呼ばれる。バロック時代には通奏低音の重要な楽器として,現在ではオーケストラの最低声部の担い手として,またジャズコンボにも欠くことのできない低音楽器である。弦の数は,ベートーベンの頃は3本だったが,現在は主として4本で,調弦は低い方からE,A,D,Gである。チェロの音を1オクターブ下で重複する必要から,低い方にC線を加えて5弦にしたり,4弦のまま特別の装置をつけたものもある。独奏する場合には弦をすべて1音高く調弦して弦の張力を強め,音色をより輝かせるようにすることがあり,これは〈ソロ・チューニング〉といわれる。

 前身はビオル属の最低音楽器ビオローネとバス・バイオリンで,現在バイオリン属になっているが,ビオローネの形が色濃く残っているため,オーケストラの中の唯一のビオル属といわれている。楽器の形はなで肩で,平らな裏板,完全4度調弦,弓の持ち方はビオル属を受け継ぎ,フレットのない指盤,渦巻,f字孔などはバイオリン属の形である。ただし比較的新しいものはバイオリン属のつくりが多くなった。弓の持ち方は,現在大別して,D.ドラゴネッティ(1763-1846)の考えたビオルのような持ち方(ドイツ式)と,G.ボッテシーニ(1821-89)の使っていたチェロのような持ち方(フランス式)の2種類があり,弓自体の形も少し異なる。奏法は立ったままか,いすに腰かけて演奏し,管弦楽などでは擦奏がおもに用いられるが,ピッチカート奏法もしばしば用いられ,ジャズではリズム楽器として基本的な位置をしめ,ピッチカート奏法で特色を発揮する。

 通常古典派までは原則としてチェロと同じ音を1オクターブ重複していたが,やがて独立したパートを弾くようになった。その初めの試みはモーツァルトの《ジュピター交響曲》の終楽章である。作品としては,コントラバスの名手ドラゴネッティの協奏曲が有名で,弦長の長い弦楽器が自然ハーモニックスを出しやすいという利点を生かして華やかな効果を出している。室内楽ではシューベルトの五重奏曲《鱒》,またこの楽器のユーモラスな一面をとらえたサンサーンスの《動物の謝肉祭》の中にある〈象〉もおもしろい。指揮者クーセビツキーはコントラバス奏者でもあり,自作にコントラバス協奏曲のほか《シャンソン・トリステ》や《小さなワルツ》などの小品もある。
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百科事典マイペディア 「コントラバス」の意味・わかりやすい解説

コントラバス

(1)バイオリン属の最低音域の擦弦(さつげん)楽器(弦楽器参照)。もともとはビオル属に由来する楽器だが,現在では通例バイオリン属に数えられ,英語でダブルベースdouble bass,ベースともいう。5度間隔で調弦されるバイオリン,ビオラ,チェロとは異なり,4本の弦はホ音から上に4度間隔。最低弦のハを加えた5弦の楽器もある。長さは約2m。弓はバイオリン属の中で最も短い。オーケストラではチェロと同じ声部を1オクターブ低い実音で弾くことが多いが,ベートーベン以降チェロから独立した役割も担った。クーセビツキー,G.カー〔1941-〕らの名手の登場で独奏楽器としての可能性も注目されている。ジャズではピチカート奏法を主に用いる。(2)同属の楽器の中で最低音のものをさす語。→バス
→関連項目サリュソホーン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コントラバス」の意味・わかりやすい解説

コントラバス
こんとらばす
double bass 英語
Kontrabass ドイツ語
contrebasse フランス語
contrabbasso イタリア語

弦楽器。バイオリン属のなかで最低音域を受け持つ。ダブルベースともよばれる。外形はバイオリン属の他の楽器とほぼ同じだが、ビオール属の名残(なごり)をややとどめ、一般に胴の肩の部分がなだらかで、胴の上部が棹(さお)に沿う形ですこし伸びている。一部には裏板の膨らみの少ないものもある。全長約2メートル。糸巻は弦の大きな張力に対応するために歯車式になっている。左手の負担を減らすために調弦は4度間隔で、4弦のコントラバスではE2-A2-D3-G3に調弦されるが、必要に応じてE線をCにまで下げられる装置がついたものや、C線を別にもつ5弦の楽器も多く用いられる。古典派時代まではチェロの8度下を重ねる使われ方が多かったが、しだいに独自の地位を獲得し、ときには独奏にも用いられる。ジャズなどに使われるときはウッド・ベースもしくはベースとよばれ、弦をはじくピッチカート奏法が中心になる。

[前川陽郁]


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音楽用語ダス 「コントラバス」の解説

コントラバス[contrabass]

Double bass(ダブルベース)。ヴィオール属の擦弦楽器。合奏においてはもっぱら全体の土台としての役割が主だが、まれに管弦楽曲中で独奏する機会が与えられる事もある。弓で奏すると音色が暗く不明瞭で単調になりやすいが、チェロの1オクターブ下を重複することで合奏全体の響きが充実し、大変効果的である。弦が長いので、余韻がよく残るため、速い楽句では音が濁る恐れがある一方、ピチカートで奏するときには独特の響きを有し、魅力的である。
ピチカート奏法はジャズなどで多用されている。ちなみに、バイオリンやチェロより弓は短い!

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コントラバス」の意味・わかりやすい解説

コントラバス
Kontrabass; double bass

弦楽器の一種。バイオリン属の最低音の楽器。別名ダブルベース。

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世界大百科事典(旧版)内のコントラバスの言及

【バス】より

…例えばバス・クラリネット,バス・チューバなど。そのなかでもとくに,コントラバスの略称として用いられる。【津上 智実】。…

【ビオローネ】より

…弦楽器の一種,大きなビオラの意。16世紀にはビオラ・ダ・ガンバのバスを,やがてそれより5度またはオクターブ低いコントラバス・ガンバを指すようになった。16世紀後半から顕著になった宮廷音楽における祝祭性は,より大きな合奏体を要求し,その土台を支える豊かな響きをもつ低音楽器の開発を促した。…

※「コントラバス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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