サーリフ(英語表記)Salih, al-Tayyib

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サーリフ」の意味・わかりやすい解説

サーリフ
Salih, al-Tayyib

[生]1929. スーダン,シャマリア地方
[没]2009.2.18. イギリス,ロンドン
スーダンの作家。アラビア語で対照的なリズム感が交錯する強烈な魅力をもつ文章を綴り,伝統的な暮らしと現代生活が交わるアフリカを描き出した。スーダンのハルツームとイギリスのロンドンで学び,社会人としてはおもにラジオ放送界で活躍して長年にわたり BBCのアラビア語放送の演劇部長を務めた。出身地は小規模農家や伝統的な宗教家が存在する農村で,小説の世界のなかでは海外留学から世間ずれして帰ってきたアフリカ人と過去の伝統との調和をはかろうとした。散文詩とも呼ばれる小説『北へ還りゆく時』Mawsim al-hijrah ila al-shamal(1966)で現代アフリカの葛藤を取り上げ,短編集『ゼーンの結婚』'Urs al-Zayn(1967)で均整のとれたリズムの語り口でスーダンの伝統的なアラブ社会の温かみ,情の深さ,ユーモア,悲しさを表現した。

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改訂新版 世界大百科事典 「サーリフ」の意味・わかりやすい解説

サーリフ
al-Ṣāliḥ
生没年:1205-49

アイユーブ朝の第7代君主。在位1240-49年。カーミル(在位1218-38)没後の混乱期にスルタンとなり,自ら購入したトルコ人奴隷兵(マムルーク)を用いて帝国の再統一に実績をあげた。治世中に多くの建設事業を手がけ,ナイル川(バフル)のローダ島にも奴隷軍団の兵舎を築いたが,バフリー・マムルークの呼称はこのことに由来する。なお,その後宮ハレム)には,後にマムルーク朝の初代君主となるシャジャル・アッドゥッルがいた。
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