ロシアを含む東スラブ地域で男女ともに用いる毛皮の裏つき外套。文献の上では14世紀末に最初の言及が見られるが,ロシアのブイリーナ(口承叙事詩)の中では,諸公に従う親衛隊(ドルジーナdruzhina)の用いるクロテン,ヒョウの毛皮上着として描かれている。裁ち方としては,前合せの長衣型のもの(ロシア南方,特にドンやクバン,テレク,シベリア地域),腰部にくびれのある一枚裁ちのもの,ひだ付きで最も新しい半幅外套型のもの(ボルガ中流の中央工業地域)の3種があった。素材には上記のクロテンのほかに,テン,キツネ,リスなどが用いられたが,農民用には主として羊が,ときにウサギが使われた。特に羊の毛皮によるものは,東スラブ人の婚礼や建築儀礼の中で富や幸福を象徴するものとして大きな意味をもっていた。したがってロシア人にとっては最も晴れがましい服として,冬の厳寒の中を歩くときばかりでなく,客を迎えて自分の資産を誇示する目的で,部屋の中で着ることもあった。
執筆者:坂内 徳明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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