クロテン(読み)くろてん(英語表記)sable

翻訳|sable

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロテン」の意味・わかりやすい解説

クロテン
くろてん / 黒貂
sable
[学] Martes zibellina

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科の動物。セーブルともいう。以前は北ヨーロッパにもいたが絶滅し、現在ではシベリア、中国北部、および日本では北海道に分布する。体長40~55センチメートル、尾長12~19センチメートル。毛色黒褐色が普通であるが、黒色や黄色に近いものもいる。のどの部分は黄白色である。森林にすむが木にはほとんど登らず、日中は樹洞や木の根元の巣穴にいて、夜、小哺乳類、小鳥、魚、果実などを食べる。夏に交尾し、翌年の4月ごろに3、4子を産む。飼育下での寿命は15年である。本種の毛皮は古代ギリシア時代より知られ、とくに純黒に近いものは貴族の喪服用に珍重された。そのため北ヨーロッパでは絶滅を招いた。ロシアでは旧ソ連時代に捕獲を規制するとともに、1933年以降養殖に成功していて、現在では養殖個体の放獣もしている。また、中国でも養殖している。日本では法規上はテンと区別されず狩猟獣扱いであるが、北海道ではイタチとともに捕獲を禁止している。

朝日 稔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロテン」の意味・わかりやすい解説

クロテン
Martes zibellina; sable

食肉目イタチ科。体長約 50cm,尾長 18cm内外。体は淡黄褐色から黒褐色で,冬季は足裏まで毛におおわれる。肉食性であるが,果実なども食べる。夜行性でまれに昼間見かけることがある。おもに地上で生活し,木に登ることは少い。毛皮はきわめて優良で,北海道産の毛皮は,シベリア産のものより品質が落ちるが,日本産の毛皮のなかでは最高の品質である。北海道,北ヨーロッパ,シベリア,中国東北地方,カムチャツカ半島に分布する。

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