ジャッカル(英語表記)jackal

翻訳|jackal

デジタル大辞泉 「ジャッカル」の意味・読み・例文・類語

ジャッカル(jackal)

イヌ科の哺乳類オオカミに似るが、小形で口先が細く耳が大きい。体毛は赤褐色ないし黄褐色。夜、群れをなして死肉をあさる。タイからアフリカにかけて分布し、インドジャッカル・金色ジャッカルともいう。広義には、セグロジャッカルなどを含めた4種の総称。
ラグビーの用語。
タックル後、味方が密集してくる前に、倒れた選手からすばやくボールを奪い取ること。
㋑タックル後の倒れた選手に絡んで、ボールを離させないこと。相手チームの反則(ノットリリースザボール)となる。

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精選版 日本国語大辞典 「ジャッカル」の意味・読み・例文・類語

ジャッカル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] jackal ) イヌ科の哺乳類。四種いる。体長五〇~一〇〇センチメートル。体形はオオカミとキツネの中間で、口先が細く耳が大きい。体色は一般に黄褐色だが、種により異なる。夜行性でネズミ、ウサギなどを捕食するほかトラ、ライオンの跡をつけて食べ残しの死肉をあさる。群れは雌雄のペアとその子どもから成る。キンイロジャッカルがインドから南東ヨーロッパ、アフリカに分布するほか、アフリカにセグロジャッカル、ヨコスジジャッカル、アビシニア(セミエン)ジャッカルがいる。

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改訂新版 世界大百科事典 「ジャッカル」の意味・わかりやすい解説

ジャッカル
jackal

オオカミとキツネの中間の食肉目イヌ科の哺乳類。パリア犬ディンゴに似るが,吻(ふん)が細長く,犬歯が細く鋭く,背の毛が長い。乳頭は8個。キンイロジャッカル,セグロジャッカル,ヨコスジジャッカル,シメニアジャッカル(アビシニアジャッカル)の4種がある。

 キンイロジャッカルCanis aureus(英名golden jackal)は,インドからギリシア,アフリカのケニア,セネガル付近まで分布。体長60~106cm,尾長20~30cmで,体は黄色がかった灰褐色,頭部と四肢は橙色みが強く,尾は赤茶色で先が黒い。乾燥した平原に家族群でくらし,ネズミ,ウサギ,鳥,トカゲなどを捕食するが,しばしばライオンなどの食べ残した死肉もあさる。セグロジャッカルC.mesomelas(英名black-backed jackal)は,ソマリアスーダンから南アフリカに分布。体長68~75cm,尾長30~38cmで,背が黒く,体側は橙色,尾先は黒い。乾燥した草原ややぶ地に家族群ですみ,死肉をあさることが多いが,ネズミ類をとらえ,トムソンガゼル大のレイヨウをも倒す。ヨコスジジャッカルC.adustus(英名side-striped jackal)は,スーダン,カメルーンから南アフリカに分布。体長65~81cm,尾長30~41cmで,肩から尾に白線が走り,その下に黒線がある。背は黒くなく,尾先は白い。サバンナでも比較的湿った場所に家族群ですみ,死肉やネズミ,さまざまな無脊椎動物,植物質を食べ,他のジャッカルより雑食の傾向が強い。シメニアジャッカルC.simensis(英名Simien jackal)は,エチオピアの高原に分布。シメニアの名は以前の属名による。体長99cm,尾長25cmほどで,外形,体色ともキツネに似るが,四肢が長く,尾先は黒色。1頭で日中活動することが多く,ネズミ類を主食とする。

 ジャッカルは妊娠期間57~70日ほどで,1産1~8頭,寿命は14年くらいである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャッカル」の意味・わかりやすい解説

ジャッカル
じゃっかる
jackal

広義には哺乳(ほにゅう)綱食肉目イヌ科イヌ属に含まれる動物のうち、旧世界に産するオオカミに似た小形種の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この仲間にはキンイロジャッカル、ヨコスジジャッカル、セグロジャッカル、シメニアジャッカルの4種がある。いずれもオオカミ、ディンゴ、パリアイヌなどに似るが、吻(ふん)が細くて先がとがり、耳介が大きい。乳頭はそれらより1対少なく4対で、臼歯(きゅうし)の基部を取り巻く輪状の高まりがあり、この点でアメリカのコヨーテに酷似する。これら前記の種はすべて第三紀鮮新世末または第四紀更新世初頭に現れた原始的なイヌ属で、互いに近縁の関係にある。

 狭義のジャッカルはキンイロジャッカルCanis aureusをさす。ケニア以北のアフリカ、アラビア半島からヨーロッパ南東部、インド、スリランカ、タイまでの地域に分布し、頭胴長60~105センチメートル、尾長18~27センチメートル、体重6~15キログラム。体は赤褐色ないし黄褐色で、頬(ほお)と体下面は淡色、尾端は黒色である。普通、低地から標高2000メートルまでの半砂漠、草原、開けた森林に1対ですみ、多くは夜行性で昼間は茂みや穴の中で休む。食物は小獣、地上性の鳥、トカゲ、昆虫、果実、猛獣の食べ残した死肉などであるが、ときにはレイヨウの子、ヒツジなどを捕食する。繁殖期は不定で60~63日の妊娠ののち、3~8子、まれに12子を産む。子は10~14日で目が開き、約10か月で性的に成熟する。子は普通、雌雄が協力して育てる。寿命は野生では10~12年である。

 そのほか、セグロジャッカルC. mesomelasは、やや尾が長く背が黒い。尾端は黒色。アフリカの東部と南部に産する。ヨコスジジャッカルC. adustusはさらに尾と四肢が長く、上を白で縁どられた黒帯が体側にあり、尾端が白い。サハラ砂漠以北と南端部を除くアフリカに分布する。習性はいずれもキンイロジャッカルによく似ている。シメニアジャッカルC. simensisは、ほかのジャッカルと形態や習性がやや異なり、ネズミを主食にする。エチオピアの3000~4000メートルの高原に普通、単独ですみ、毛色が鮮やかな赤褐色で吻がとくに細長いところからシメニアギツネともよばれる。尾端は黒いが、そのほかの部分には黒毛を混じない。

[今泉吉典]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャッカル」の意味・わかりやすい解説

ジャッカル
Canis aureus; golden jackal

食肉目イヌ科。体高 40~45cm,体重 9kg内外。形態はややオオカミに似て吻がとがり,耳は大きく,尾は太くて長い。普通単独で生活するが,ときに群れをつくることもある。ネズミ,トカゲ,昆虫類などを捕えるが,雑食性で,腐肉をあさる習性がある。夜行性。アフリカ北部,中央アジア,ヨーロッパなどのサバナ,砂漠,森林に生息し,人家付近に現れることもある。毛色によりセグロジャッカル,ヨコスジジャッカル C. adustusなどの近縁種がある。なお,イヌとの間に生殖力をもつ雑種をつくることができる。

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知恵蔵mini 「ジャッカル」の解説

ジャッカル

ラグビー用語。タックルで倒された選手が持っているボールを守備側が奪い取ること。ほかの選手たちが組み合うラックの状態になる前にボールを奪わなければ成功とならない。オーストラリア代表などでプレーしたジョージ・スミスが得意とし、猛獣のジャッカルが獲物を狩る様子にたとえてまずスミス自身の愛称になり、その後、ボール奪取のプレーを指す語となった。2019年のラグビーワールドカップ日本大会で日本代表ナンバー8の姫野和樹が複数回成功させたことから流行語となった。

(2019-11-14)

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百科事典マイペディア 「ジャッカル」の意味・わかりやすい解説

ジャッカル

食肉目イヌ科の哺乳(ほにゅう)類の総称。体長65〜106cm,尾20〜41cmほど。オオカミに似るが耳介は大きく,体は薄い金色〜褐色で背と尾には黒色の毛が多い。アジア南部〜ヨーロッパ南東部,アフリカに分布。平原や林に1〜6頭ですみ,夜出て猛獣の食べ残しをあさるほか,ネズミ,ウサギなどを襲い,サトウキビなども食べる。穴を掘るのがうまい。4〜9子を生む。キンイロジャッカル,セグロジャッカル,アビシニアジャッカル,ヨコスジジャッカルの4種がいる。

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デジタル大辞泉プラス 「ジャッカル」の解説

ジャッカル

1997年製作のアメリカ映画。原題《The Jackal》。フレデリック・フォーサイス『ジャッカルの日』を原案としたサスペンス映画。監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ、出演:ブルース・ウィリス、リチャード・ギア、シドニー・ポワチエほか。

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