(読み)おおかみ

精選版 日本国語大辞典 「狼」の意味・読み・例文・類語

おお‐かみ おほ‥【狼】

〘名〙
イヌ科の哺乳類。大きさは大型のイヌくらい。耳は立ち、尾は長く、ふさふさした毛がある。体毛は灰茶色、時に白色黒色。群れをなし、大形のシカなどを食べるほか、冬には家畜を襲うこともある。平原や林の岩場などにすみ、ほえ声は遠くまで響く。ヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布タイリクオオカミマダラオオカミシロオオカミなどともいう。三二亜種があり、日本にはニホンオオカミエゾオオカミの二亜種がいたが明治時代に絶滅したとされている。おおくちのまがみ。やまいぬ。おおかめ。《季・冬》
書紀(720)雄略五年二月(前田本訓)「陛下譬へば豺狼(オホカミ)に異(け)なること無し」
② (「狼に衣」のことわざから) うわべはやさしくよそおっていて実は凶悪な人。特に、破戒僧の異称。
※雑俳・川傍柳(1780‐83)三「衣着た狼女ばかりくひ」
※雑俳・柳多留拾遺(1801)巻一四上「狼が送れば狸先へたち」
[補注]①は昔から、「山神の使い」として敬われ、埼玉県三峰神社、静岡県山住神社など各地の神社に像があり、「御犬」と呼ばれる姿を描いた守札が出されている。この守札を門口に貼っておくと、盗難災難よけになり、田畑に竹などに差しておくと鳥獣が荒さないという。なお、中世から「おおかめ」と呼ばれることも多かった。

お‐いぬ【狼】

〘名〙 動物「おおかみ(狼)」の異名。
菅江真澄遊覧記(1784‐1809)「慈覚大師のたましゐをこめて作たまへは、此ひかりにおちて、おいぬ(〈注〉狼をいふ)、うちなの、ゆめ此邑に入来す」

おお‐かめ おほ‥【狼】

〘名〙 「おおかみ(狼)」の変化した語。〔法華経音訓(1386)〕
※談義本・当世下手談義(1752)三「虎(とら)(オホカメ)のやうな主人も」

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デジタル大辞泉 「狼」の意味・読み・例文・類語

ろう【狼】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ロウ(ラウ)(呉)(漢) [訓]おおかみ
動物の名。オオカミ。「狼藉ろうぜき狼狽ろうばい餓狼豺狼さいろう
星の名。シリウス。「天狼星
[難読]狼狽うろたえる狼煙のろし

おお‐かみ〔おほ‐〕【×狼】

《「大神」の意》食肉目イヌ科の哺乳類。中形で、ふんが長く、耳は立ち、先がとがり、尾が太い。ヨーロッパ・アジア・北アメリカに分布。春から夏にかけて家族単位で暮らし、冬には群れをつくって共同で狩りをし、大形のシカなども襲う。亜種にヨーロッパオオカミやシンリンオオカミ、別種に絶滅したニホンオオカミなどがある。 冬》日本狼
優しそうに装っているが、実際は恐ろしい人。「送り
《「狼に衣」のことわざから》破戒僧
「―へ犬のついてる御殿山」〈柳多留・二四〉

おお‐かめ〔おほ‐〕【×狼】

おおかみ」の音変化。
「―モ羊モ水ヲ飲ムニ」〈天草本伊曽保・狼と羊〉

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デジタル大辞泉プラス 「狼」の解説

1955年公開の日本映画。監督・脚本:新藤兼人、撮影:伊藤武夫。出演:乙羽信子、浜村純、殿山泰司、菅井一郎、高杉早苗、信欣三、斎藤美和ほか。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「狼」の解説

狼 (オオカミ)

学名:Canis lupus
動物。イヌ科の哺乳動物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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