ジョーゼフ・アンドルーズ(読み)じょーぜふあんどるーず(英語表記)The History of the Adventures of Joseph Andrews, and his Friend Mr. Abraham Adams

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ジョーゼフ・アンドルーズ
じょーぜふあんどるーず
The History of the Adventures of Joseph Andrews, and his Friend Mr. Abraham Adams

イギリスの作家フィールディング長編小説。1742年刊。全4巻。その書き出しはS・リチャードソンの『パミラ』を揶揄(やゆ)する意図で始まる。主人公ジョーゼフは身分の高いロンドンのブービー夫人に奉公してその誘惑を受けるが、これをはねつけて解雇され、旧知のアダムズ牧師とともに、道中いろいろの事件にあいつつ故郷に帰って、恋人ファニーと結婚する。人間の尊敬すべき点は家格や富に関係なく、その誠実さにあることを主張した作。その序文は、笑うべきものとは何かを論じて、ベルクソンの『笑い』(1900)などの先駆的文章とされる。

朱牟田夏雄

『朱牟田夏雄訳『世界の文学4 ジョウゼフ・アンドルーズ』(1966・中央公論社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ジョーゼフ・アンドルーズ
The History of the Adventures of Joseph Andrews, and of His Friend Mr. Abraham Adams

イギリスの小説家 H.フィールディング最初の小説。4巻。 1742年刊。 S.リチャードソンの小説『パミラ』 (1740) の道徳臭に反発して,そのパロディーとして始められたものだが,善良で間が抜けたアダムズ牧師の冒険が中心となった。パミラの弟ジョーゼフは奉公先のブービー夫人から懸想されたが応じず,くびになり,アダムズ師とともに恋人のいる村に向い,途上数々の事件にあう。

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