ジルバーマン(その他表記)Silbermann

改訂新版 世界大百科事典 「ジルバーマン」の意味・わかりやすい解説

ジルバーマン
Silbermann

ドイツオルガンおよび鍵盤楽器製作者の一族

(1)アンドレアスAndreas(1678-1734) ゲルリッツ,シュトラスブルク(現,ストラスブール),またパリのA.ティエリーのもとで修業後,シュトラスブルクに定住し,シュトラスブルク大聖堂(3段鍵盤,39個ストップ)をはじめ,コルマール,ロスハイムなどに34台のオルガンを製作した。エーバースミュンスター,マルムティエの修道院のオルガンは,良好な状態で現存する彼の代表作とされる。4人の息子ヨハン・アンドレアスJohann Andreas(1712-83),ヨハン・ダニエルJ.Daniel(1717-66),ヨハン・ゴットフリートJ.Gottfried(1722-63),ヨハン・ハインリヒJ.Heinrich(1727-99)も,オルガンおよび鍵盤楽器の製作に従事した。ダニエルとハインリヒはオルガン奏者としても知られた。アンドレアスの工房は,長男ヨハン・アンドレアスの息子たちヨハン・ダニエル,ヨハン・ヨシアスおよび娘婿C.ザウアーらによって引き継がれ,19世紀初頭まで存続した。

(2)ゴットフリートGottfried(1683-1753) 上記アンドレアスの弟で,シュトラスブルクの兄のもとで修業後ザクセンに戻り,フライベルク大聖堂(3段鍵盤,45個ストップ)をはじめ,ドレスデンの聖母教会,宮廷教会などザクセン地方に約50台のオルガンを製作した。彼の代表作の多くは,第2次世界大戦の爆撃等で破壊され,現存するものは2段鍵盤以下の小規模なものが多い。彼はクラビコード,ハンマーフリューゲルの製作,改良も手がけ,これらの楽器製作を通じてバッハ父子やバッハの弟子たちとも親交があった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジルバーマン」の意味・わかりやすい解説

ジルバーマン
Silbermann, Gottfried

[生]1683.1.14. ザクセン,クラインボブリッチュ
[没]1753.8.4. ドレスデン
J.S.バッハと同時代のドイツのオルガン製作者。オルガン製作者の家系の出で,シュトラスブルクで兄アンドレアスのもとに学び,1710年フライベルクに移って独立。ドレスデン,フライベルクをはじめザクセン地方に約 50の名器を残した。クラビコード,チェンバロの製作にも優れ,またイタリアの B.クリストフォリが発明したピアノを改良した。

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世界大百科事典(旧版)内のジルバーマンの言及

【オルガン】より

…南ドイツでは,イタリアのフレスコバルディの影響とフランス音楽の影響のもとに,J.J.フローベルガー,ケルルJ.K.Kerll(1627‐93),ムファットG.Muffat(1653‐1704)らが活躍した。楽器製作では,ジルバーマン一族が傑出した業績を残した。北ドイツでは,シュニットガーArp Schnitgerが,ニーホフから約1世紀後の17世紀後半に,ハンブルク様式とよばれる当時最大の五つのパイプ群から成るオルガンを世に出し,バロック・オルガンの総合を成しとげた。…

※「ジルバーマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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