翻訳|Skylab
アメリカの宇宙ステーション。Skylabはsky laboratoryの略。アポロ計画の資材を応用したのでアポロ応用計画とも呼ばれる。すなわち,スカイラブの主要部はアポロ計画で用いられた巨大なサターンⅤ型ロケットの4段目を改造したもので,270m3の空間をもつ作業室であった。この作業室は2層に分かれていて,1階は寝室,トイレ,居室,医学実験室が設けられ,また2階はフィルム格納庫,科学器具ロッカー,水タンクなどが入った大きな実験室となっていた。このほか作業室には望遠鏡架台,ドッキング部,エアロック室,計器部が取り付けられていた。この計画の目的は,長期間の人間の宇宙滞在中の医学データを得ること,太陽物理学の研究を行うこと,地球を観測すること,そして各種科学実験を行うことであり,スカイラブと地上との間の乗組員の往復にはアポロ宇宙船が使用された。
スカイラブは1973年5月14日に無人で打ち上げられ,予定した地球を回る人工衛星となったものの,日よけをかねていた隕石防止板がちぎれ,太陽電池パネルの一つを破壊したため,一時は計画の遂行すら危ぶまれたが,5月25日アポロ宇宙船で打ち上げられてドッキング後移乗した2名の宇宙飛行士の努力などによって奇跡的に復旧した。このときの滞在日数は28日間であったが,2回目は7月28日から59日間,3回目は11月16日から84日間の滞在を行い,おりから太陽に近づいてきたコホーテクすい星を観測するなど予想以上の成果をあげた。スカイラブはこのあとしばらく無人のまま飛行させておき,78年12月にスペースシャトルによって再訪問し,ロケットでもう一度高い軌道に打ち上げて使用することが予定されていた。しかし,太陽活動の活発化に伴って上層大気の密度が増し,スカイラブの空気抵抗が大きくなって軌道が急速に下がったことと,スペースシャトルの完成の遅れが重なったため,79年7月12日に落下消滅した。その落下点は完全には制御できず,結局,南インド洋からオーストラリアにかけての軌道で降下し,大気突入とともに破壊して広い範囲に破片が落下した。
執筆者:長友 信人
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…宇宙船内での人間の滞在時間は次第に延びているが,4ヵ月以内ならばとくに無重量状態の効果である骨の成分の喪失などは地上に帰還後数週間のうちに回復することが明らかにされているが,6ヵ月以上になると問題が残るといわれている。 一方,アメリカはこの分野でのおくれを取り返すために,アポロ計画半ばからアポロの器材を用いたスカイラブ計画を開始した。スカイラブはアポロ計画で用いた長さ100mのサターンロケットの4段目を改造して宇宙ステーションとしたものである。…
※「スカイラブ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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