スタルヒン(読み)すたるひん(その他表記)Victor Stalkhin

デジタル大辞泉 「スタルヒン」の意味・読み・例文・類語

スタルヒン(Victor Starukhin)

[1916~1957]日本のプロ野球創成期の名投手ロシアの生まれ。革命に追われ、1917年北海道移住巨人軍などで投手として活躍し、通算303勝をあげた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スタルヒン」の意味・わかりやすい解説

スタルヒン
すたるひん
Victor Stalkhin
(1916―1957)

プロ野球選手(投手:右投右打)。5月1日、帝政ロシアウラルに生まれる。ロシア革命に追われて3歳のとき両親とともに来日。北海道の旭川(あさひかわ)中学3年在学中の1934年(昭和9)秋にアメリカ大リーグ選抜チームが来日し、選ばれて全日本チームの投手となる。その後、全日本チームが東京巨人(現、読売ジャイアンツ)となり巨人選手となる。1936年から投手として活躍。沢村栄治投手の応召(1938)ののちは巨人のエースとして1939年、1940年の両年最高殊勲選手(現、最優秀選手)となった。第二次世界大戦後は6球団に所属し、1955年初の300勝投手となった。同年引退。1957年1月自動車事故で死去戦時中は須田博と改名させられていた。1939年の1シーズン42勝の記録は、西鉄の稲尾和久(かずひさ)投手が1961年にタイ記録を出したが、通算最多完封記録83はプロ野球記録(2015年時点)である。1984年旭川市は改築した市営野球場を旭川スタルヒン球場として開場した。

[神田順治・森岡 浩 2016年9月16日]

 実働19年間の通算成績は、登板試合586、投球回4175と3分の1、303勝176敗、防御率2.09、奪三振1960、完投350、完封83。獲得したおもなタイトルは、最多勝利6回、最高勝率2回、最優秀防御率1回、最多奪三振2回、最高殊勲選手(現、最優秀選手)2回、ベストナイン1回。1960年(昭和35)に野球殿堂野球殿堂博物館)入り。

[編集部・森岡 浩 2016年9月16日]

『N・スタルヒン著『白球に栄光と夢をのせて』(1979・ベースボール・マガジン社)』『N・スタルヒン著『ロシアから来たエース』(1986・PHP研究所)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スタルヒン」の意味・わかりやすい解説

スタルヒン
Stalkhin,Viktor K.

[生]1916.5.1. ロシア,ニジニータギル
[没]1957.1.12. 東京
プロ野球選手。一家はロシア革命で祖国を追われて日本に亡命,北海道旭川市に住む。 1936年読売ジャイアンツ (巨人) に入団。2年目に春秋合わせて 28勝をあげる。快速球を武器に大活躍し,1939年には 42勝 (完投 38) 。第2次世界大戦中は外来語追放により「須田博」と改名。戦後,元の名前に戻る。戦後はパシフィック,太陽ロビンス,金星スターズ (のちに大映スターズ) ,高橋ユニオンズ (のちにトンボユニオンズ) と弱小球団を転々とするが,トンボで日本プロ野球史上初の 300勝を達成する。 1955年引退。2年後,自動車事故で死亡。亡命者のため生涯,無国籍。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「スタルヒン」の解説

スタルヒン Starffin, Victor Konstantinovich

1916-1957 昭和時代のプロ野球選手。
1916年5月1日ロシアのウラル県生まれ。ロシア革命に追われ来日。北海道旭川中学3年のとき全日本チームの投手にえらばれ,昭和11年巨人軍入団。戦後は他球団を転々。30年日本初の300勝を達成,同年引退。通算303勝(完封83),防御率2.09。最高殊勲選手2回。戦時中,須田博と改名。昭和32年1月12日交通事故死。40歳。35年野球殿堂入り。

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百科事典マイペディア 「スタルヒン」の意味・わかりやすい解説

スタルヒン

プロ野球選手。ロシアに生まれ,1925年両親とともに日本へ亡命,北海道で育った。1934年旭川中学を中退し,投手として全日本選抜チームに選ばれ,1936年東京巨人に入団,1939年,1940年に最高殊勲選手。戦争中は須田博と名乗った。第2次大戦後は多くの球団を転々とし,1955年に日本プロ野球史上初の300勝投手(通算303勝)となり,同年引退。1960年に野球殿堂入り。

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