縫い縮めてひだ寄せをした布地のひだを固定させるために、欧風刺しゅうの技法を使ってかがる手法で、伸縮性がある。もともと、直線裁ちの着衣を、丸みのある人体になじませるためのくふうで、ハンガリーにおこったといわれる。その後、さまざまな国で、美しい色彩や数多くのステッチが取り入れられ、しだいに装飾的に発展した。チェコ、スロバキア、ハンガリー、スコットランドなどの民族服に多く使われている。
[木村鞠子]
アウトラインステッチ(シングル、ダブル)、ケーブルステッチ(シングル、ダブル)、ダイヤモンドステッチ(山型)、ハネコムステッチ、チェーンステッチ、フェザーステッチ、ウェーブステッチ、バンダイクステッチなど。
[木村鞠子]
布に縫いひだを寄せるので、なるべく柔らかい布地を選ぶ。一般に使われる生地(きじ)は、薄平木綿(ローン)、麻、綿、化合繊、シフォン・ベルベット、薄いウール地、カシミヤ、モスリン、ジョーゼット。無地を使うことが多いが、印のつけやすい、格子柄(こうしがら)、縦縞(たてじま)、水玉(いずれも大から小まで)、また織り目が規則正しい変り織になった布、編み地の一目ゴム編や、一目表目・二目裏目のゴム編み地など。
[木村鞠子]
婦人・子供服、袋物、エプロン、室内装飾、カーテン、クッション、ピアノ掛けなど。模様は幾何学的なものが主になるが、小花模様などの刺しゅうを加えると美しい。近年は編み地にも使われている。また裏スモックの手法もある。
[木村鞠子]
薄地の布を縫い縮めてひだを寄せ,そのひだ山をすくいながら幾何学模様などを伸縮するようにかがる実用と装飾を兼ねた手芸の技法。スモック,スモック・フロック(ヨーロッパの農夫などの仕事着)などのひだ飾りに使われたことからこの呼称がある。5世紀中ごろからイギリスの農夫は胸元にスモッキングしたゆったりしたシャツを着ていた。その他各地の民族衣装にも見られ,現在はブラウスや子ども服の装飾などに用いられている。
執筆者:原 三江子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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