モスリン(読み)もすりん(英語表記)muslin

翻訳|muslin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モスリン」の意味・わかりやすい解説

モスリン
muslin

梳毛 (そもう) 糸を平織斜文織にした柔らかい薄地の毛織物。もとイラク北西部のモースル (マウシル) で製織された薄い平織綿織物であったが,のちにフランス,イギリスなどで羊毛糸を使った平織物をモスリンと呼ぶようになった。これが明治初期に日本に輸入され,一般にメリンス唐縮緬 (ちりめん) といわれ,和服地として普及。明治末期に国産化され,日本の毛織物として輸出,さらに綿糸で織った新モス (綿モス) や,スフモス,化繊モスなども生産され輸出されたが,現在は生産されていない。白地無地のほか,友禅染捺染模様などが多く,従来は女性,子供のきもの,帯,下着として盛んに用いられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モスリン」の意味・わかりやすい解説

モスリン
もすりん
muslin

元来、木綿薄手のものをいうが、日本ではメリンスとか唐縮緬(とうちりめん)、また略して「とうち」などともいわれた薄い毛織物で、おもに女性の衣料として用いられた。明治初期、イギリスから生地(きじ)が輸入され、まもなく、これに友禅染めを施したものが普及した。その後1897年(明治30)ごろから日本でも生地の製織が行われ、着尺(きじゃく)、帯地、下着、ふとんなどの用に供された。綿製の綿モス、新モスなどもあった。一時はネルセルなどとともに女性の普段着としてかなり広い需要層をもっていたが、虫のつきやすいことなどから、しだいに用いられることが少なくなり、今日ではほとんどみられなくなった。

山辺知行

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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