スモック(読み)すもっく(英語表記)smock

翻訳|smock

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スモック」の意味・わかりやすい解説

スモック
smock

上っ張りに相当する英語。語源は,頭からかぶって着る衣服を意味する smocであるが,時代を経るに従って4様の意に変遷した。 (1) 13~18世紀までの素肌にじかに着用する女性用下着。古くは smicketと綴られた。上質のリネン,ケンブリック,オランド,ときには絹でつくられ,身頃や袖にゆとりをもたせるための特殊な手芸,すなわちスモッキングが施されていた。これは胸と肩の部分に,縦方向の細いプリーツをたたみ,金銀糸,色糸で固定し装飾的効果も兼ねるもので,今日でも婦人子供服に多く用いられる。 18世紀末スモックはシフトと名を変え,さらに 19世紀以降はシュミーズと呼ばれるようになった。 (2) 植民地時代のアメリカで,農場労働者や一般労働者が着た厚手の目の粗いリネンのシャツ。 (3) 18世紀以降,ヨーロッパ各地の農場労働者や羊飼いが着ていたスモックフロックの略語。保温と,よごれを防ぐため,日常,服の上から重ねて着たもの。膝丈,長袖で,胸部にはスモッキングが施され,スカートの部分にゆとりをもたせてある。材料はホームスパン,厚手綿など。 (4) 今日では腰丈のゆったりした上着の意で,特に画家エンジニア,婦人,子供の作業用のものをさす。また,「スモック風」は,ゆったりした,肩ヨークやスモッキングのある上着に冠せられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スモック」の意味・わかりやすい解説

スモック
すもっく
smock

(1)上っ張りのこと。子供、婦人、画家などが、服の上に汚れ防止のために着るもの。丈は腰あたりまであり、身頃(みごろ)にギャザーを入れ、ゆったりした長袖(ながそで)のデザインが基本形である。生地(きじ)はじょうぶで洗濯のきく木綿、または木綿と化繊混紡のものが用いられる。(2)19世紀に農夫の着ていた上着。厚手の麻布などでつくられ、身頃にギャザーが入っている。(3)17世紀以前に用いられた肌着一種。フランス語のシュミーズにあたる。フランネル、麻、綿などでつくられた。

[菅生ふさ代]

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