日本大百科全書(ニッポニカ)「スラック」の解説
スラック
すらっく
slack
線路の曲線部において、車両がきしまないで円滑に通過できるように設ける軌間の拡大寸法。スラックをつけるとき、外側レールはそのままにしておき、内側レールをスラックだけ曲線の内側にずらせることにより軌間を拡大する。
JR各社の在来線のスラック量は、2軸車・3軸車それぞれについて、曲線半径の区分ごとに決められている。2軸車の場合は、曲線半径200メートル未満であれば5ミリメートルのスラックをつけ、200メートル以上はスラックをつけないこととしている。3軸車の場合は、曲線半径200メートル未満が20ミリメートルのスラック、200メートル以上240メートル未満が15ミリメートル、240メートル以上320メートル未満が10ミリメートル、320メートル以上440メートル未満が5ミリメートルで、440メートル以上はスラックをつけないこととしている。
スラックは、円曲線の前後で徐々に変化させる必要がある。その基準は、以下のものである。
(1)緩和曲線のある場合はその全長で徐々に0まで減らしてゆく。
(2)緩和曲線のない場合は、円曲線端から当該曲線を走行する車両の最大固定軸距以上の長さの区間において徐々に0まで減らしてゆく。
[大澤伸男]