軌間(読み)キカン(英語表記)gauge

翻訳|gauge

デジタル大辞泉 「軌間」の意味・読み・例文・類語

き‐かん【軌間】

鉄道線路の、左右レール頭部の内面間の最短距離JR標準軌間は1.435メートルとされ、新幹線で採用されている。これより広いものは広軌、狭いものは狭軌という。ゲージ。→広軌狭軌

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精選版 日本国語大辞典 「軌間」の意味・読み・例文・類語

き‐かん【軌間】

  1. 〘 名詞 〙 鉄道のレールの内側の間の距離。準軌間、広軌間、狭軌間などがある。日本の鉄道は狭軌間が多く欧米は一般に標準軌間(準軌間)を用いている。軌隔。ゲージ。〔工学字彙(1886)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「軌間」の意味・わかりやすい解説

軌間
きかん
gauge

鉄道線路の2本のレールの間隔で、ゲージともよばれる。日本ではレールの上面から16ミリメートル以内での、左右レール頭部間の最短距離をいう。

 世界最初に鉄道を実用化したイギリスの鉄道の軌間が1435ミリメートルであったため、これを標準軌間といい、これより広いものを広軌、狭いものを狭軌とよんでいる。日本ではJRをはじめ1067ミリメートルの狭軌が多く採用されている。新幹線の標準軌間を広軌とよぶことがあるが、これは在来線の狭軌よりも広いという意味で、正しい用法ではない。

 世界各国の鉄道では、それぞれの国情に応じて各種の軌間が採用されているが、標準軌間は世界の鉄道のおよそ70~75%を占めている。

 なお、日本独自の軌間に1372ミリメートルがあるが、これは、東京都電の前身である馬車鉄道の軌間を引き継ぎ、東京付近の私鉄でも使用していた。しかし相互乗り入れの関係で大部分は改軌され、現在は東京都電、都営地下鉄の一部、京王電鉄などが採用しているにすぎない。また、私鉄の一部には762ミリメートルの俗称「とろっこゲージ」とよばれているものもある。

 広軌鉄道は建設費、車両費が多くかかるが、車両安定がよく、車両も大型に製作できるため、車内設備も十分にでき、高速運転、大量輸送に適している。一方、狭軌鉄道は、すべてが小規模なので広軌鉄道に劣るが、日本では多くが狭軌鉄道でありながら、ヨーロッパの標準軌間や広軌鉄道に匹敵する大きさの車両で運転され、普通の狭軌鉄道とは比較にならぬほどの高能率な働きをしている。

[松澤正二]

『柴田元良著『鉄道工学』(1971・コロナ社)』『久保田博著『鉄道工学ハンドブック』(1995・グランプリ出版)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「軌間」の意味・わかりやすい解説

軌間
きかん
gauge; railway gauge

鉄道のレール(→軌条)の頭部内側の幅。ゲージともいう。軌間によって鉄道の建設や運行管理のコストが大きく変わるため,その決定に多くの議論がなされ,さまざまな軌間の鉄道が開発された。世界の鉄道路線の約 5分の3は 4フィート8.5インチ(1435mm)のいわゆる標準軌で,起源はイギリスのジョージ・スチーブンソンが 1829年に開発し,1830年に開業したリバプール・アンド・マンチェスター鉄道である。ヨーロッパ大陸やアメリカ合衆国に導入され,イギリス製の機関車が輸入された。標準軌よりも幅の広い軌間を広軌(ブロードゲージ),狭い軌間を狭軌(ナローゲージ)と呼ぶ。狭軌の場合,コストが低く抑えられ,より急カーブの路線を描くことができるが,走行車両の横方向の安定性がそこなわれるため,結果的に運行速度が低下するという欠点がある。広軌にはロシアの 5フィート(1524mm),スペインとポルトガルの 5フィート6インチ(1676mm)があり,狭軌には日本の JR各線や地方鉄道で採用されている 3フィート6インチ(1067mm)がある。日本のほか,インド,パキスタン,オーストラリアなども 2種類以上の軌間を導入している。

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百科事典マイペディア 「軌間」の意味・わかりやすい解説

軌間【きかん】

鉄道の2本のレールの,頭部内側面間の最短距離。1435mmを標準軌,これより狭いものを狭軌,広いものを広軌という。日本では新幹線および私鉄の一部が標準軌であるほかは狭軌を使用。海外では米・英・仏・独・中国など標準軌が最も多く,ロシア・インドなどは広軌,東南アジア諸国・南アフリカなどは狭軌である。→鉄道
→関連項目インドの山岳鉄道群ゲージ東海道新幹線

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世界大百科事典(旧版)内の軌間の言及

【地下鉄道】より

…また後述するが,電車通過時の騒音,振動対策もとられている。日本の地下鉄の軌間は,狭軌(1067mm)と標準軌(1435mm)がほとんどであるが,東京都営新宿線の1372mmや札幌のゴムタイヤ軌道(南北線,ゴムタイヤ中心間隔2300mm)もある。郊外電車との相互乗入れのときは郊外電車の軌間に合わせることになる。…

【鉄道】より

…日本政府には,さらに〈防共鉄道〉の名のもとに,ソ連の南側を通ってアジア大陸を横断し,ナチス・ドイツと結ぶ鉄道の建設計画が鉄道関係者から進言されていた。ナチス・ドイツ政府も,42年以降,軌間3mという巨大な鉄道を,ドイツと周辺の地域に建設する計画を立て,その実行に踏み切ろうとしていた。この鉄道は,おもにドイツ軍の脅威のもとにあったソ連のウクライナ地方から莫大な物資をドイツに輸送することを目的としていた。…

※「軌間」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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