センボンヤリ(英語表記)Leibnitzia anandria (L.) Turcz.

改訂新版 世界大百科事典 「センボンヤリ」の意味・わかりやすい解説

センボンヤリ
Leibnitzia anandria (L.) Turcz.

東アジアの東・北部に分布するキク科多年草山地日当りのよい林縁に生え,春と秋にそれぞれ形状の異なる頭花をつける。春には小さなタンポポに似た白い花を開く。閉じると裏側が淡い紫色を帯びているので,ムラサキタンポポとも呼ばれる。秋には長い花茎の先に閉鎖花をつける。多数の花茎を,立てかけた1000本の槍に見たてたところから,センボンヤリの和名がついた。根出葉はロゼット状に発達し,倒卵状長楕円形で頭大羽状に中裂する。裏面はくも毛が密生して白い。花茎の高さは春型では約10cm,秋型では30~60cm。春型の頭花には縁に舌状花が1列あり,中に筒状花がある。舌状花は2唇形で,外唇が舌状に長く伸び,内唇が2裂する。筒状花は外唇が3裂し,内唇が2裂する。秋型の頭花はすべて筒状花からなる。総苞は約15mm,瘦果(そうか)はすべて結実し長さ6mm,冠毛は1cmくらいで茶褐色である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「センボンヤリ」の意味・わかりやすい解説

センボンヤリ
せんぼんやり / 千本槍
[学] Leibnitzia anandria (L.) Turcz.

キク科(APG分類:キク科)の多年草。春と秋に、それぞれ異なる頭花をつける。春、白色の小さなタンポポに似た頭花が開き、花が閉じると裏側が淡い紫色を帯びているのでムラサキタンポポともよばれる。名のヤリは秋の閉じたままの頭花が30~60センチメートルの花茎の先に上向きにつくようすを槍(やり)に見立てたもので、センボンは群生するようすを表している。春型の花茎は短く、約10センチメートルである。山地や丘陵地の林縁に生え、北海道から九州および東アジア北部に広く分布する。

小山博滋 2022年3月23日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「センボンヤリ」の意味・わかりやすい解説

センボンヤリ(千本槍)
センボンヤリ
Leibnitzia anandria

キク科の多年草で,東アジアの暖帯および温帯に広く分布する。日本全域の日当りのよい山地や丘陵地に生える。春と秋とで著しい2型を示す特徴がある。葉は根生し,春に生じる葉は小さく卵形で,下面に白いちぢれた毛があるが,夏から秋にかけての葉は大きく長さ 10~16cm,幅3~4cmとなり,倒楕円形で羽状に切れ込む。春,高さ5~15cmの花茎を伸ばし,先に径 15mm内外の頭花をつける。頭花の周辺には少数の白色舌状花をつける。秋には高さ 30~60cmの花茎の先に,管状花だけから成る閉鎖花をつける。

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百科事典マイペディア 「センボンヤリ」の意味・わかりやすい解説

センボンヤリ

ムラサキタンポポとも。キク科の多年草。北海道〜九州,東アジアの暖〜温帯に分布し,山地や丘陵にはえる。葉は根生しタンポポに似るが,ちぎっても白い汁は出ない。花には春型と秋型があり,春型は5〜15cmの花茎に舌状花のある径1.5cmほどの頭花をつける。舌状花は白色で裏面が紫色。秋型は30〜60cmの花茎に筒状花からなる閉鎖花をつける。

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